友だちづきあいやオンライン学習で、小学生でもパソコンやスマホを使うことが増えてきました。便利な半面、目に悪影響がないか心配です。放っておくと、学習に影響が出る可能性も……。発売中の「AERA with Kids」夏号では、「子どもの目からのSOSサイン」を紹介しています。

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 長引くコロナ禍で外出もままならず、子どもがスマートフォンやタブレットなどを使う「スクリーンタイム」が増えていませんか? 国立成育医療研究センターのアンケートでは、コロナ禍以前に比べてスクリーンタイムが増えた小学1~3年生は45%、4~6年生は53%でした。一日のスクリーンタイムが2時間以上という小学1~3年生は42%、4~ 6年生では53%にのぼります。

 また、国の「GIGAスクール構想」がスタート。公立小中学生 で1人1台のICT機器の配備が進められており、スクリーンタイムはいっそう増えそうです。ここで気になるのが、子どもの目への影響。同センター眼科診療部長の仁科幸子先生は、「子どもの近視や斜視が増加傾向にあります」と警鐘を鳴らします。

「そもそも近視とは、眼軸(眼球の奥行き)が伸びて、遠くが見え にくくなる状態を指します。近視になる要因には、親からの遺伝要因と、近くのものを長時間見るなどの環境要因があります。近くのものを凝視すると、目の水晶体を 調整する『毛様体』という筋肉が 過度に緊張し、遠くにピントが合わせにくくなるのです」

 近視は眼鏡をかければ見えるようになりますが、子どもの将来を考えると油断はできません。「子どものうちに近視が進むと、成人してから緑内障や網膜剥離など失明につながる病気のリスクが 高まります」

 一方、子どもの斜視は、いくつか種類があるうち、後天的な「内斜視」が増えているそうです。

「近くを見続けると、目を内側に寄せる『内直筋』が過度に緊張し、 片方の視線が内側に寄った内斜視の状態になります。20センチ以内の距離では、大きく影響を受けます。進行すると小学生以上はものが二重に見える『複視』、乳幼児では眼鏡をかけても片目が見えない『斜視弱視』になることもあります。両目でものの立体感を把握する『両眼視』がうまくできず、 勉強やスポーツなどに差し障る子どももいます」

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越膳綾子
ライター 越膳綾子

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