ふだん何げなくやっている声かけ。でも、本当にそれでいいの? 「ほめる」「叱る」ときについ親の評価を押し付けたり、周囲の目を気にしたりしていませんか? 「AERA with Kids春号」(朝日新聞出版)では、欧米の最新の教育メソッドに詳しい児童発達学博士の島村華子さんに取材。子どもの個性を伸ばし、自己肯定感を高めてくれるほめ方・叱り方についてうかがいました。

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 親はつい、自分の価値観でほめたり叱ったりして子どもをコントロールしがち。でも先が見えない時代、自ら考える力を育むためにも、子どもを人として尊重する声かけが必要だと島村さんは言います。

 「わが子に関して、親はつい一心同体に感じてしまうものですよね。でも、子どもの問題や悩みも、親のものではなく子どもの持ち物。大人基準で善悪を決めず、まずはよく話を聞いて良きリーダーとしてサポートすることが大切です」

 その際に、重要なのが「条件つき声かけをしない」ことと「評価ではなく共有」を意識すること。

「親がいいと思うときにほめ、都合が悪いときに叱るのは“条件つきの声かけ”。子どもが欲しいのは親の評価ではなく、いつでも体験や成長のプロセスを共有してくれる安心感です」と島村さん。

 具体的にどんな「ほめ方・叱り方」がいいのか、NGになりがちな声かけをどう変えればいいか、以下のケースで島村さんにそれぞれアドバイスをいただきました。

◎親の言うことを守れたらごほうび 守れなかったら罰を与える

「ごほうびと罰」を与えるようなほめ方・叱り方は、アメとムチで子どもの行動をコントロールしているともいえます。短期的には「いい子」になっても、将来親子関係が悪化したり、常に他人の評価や顔色をうかがうようになったりする危険性も。結果、本当の意味での自己肯定感を持ちにくくなってしまいます。将来自立した大人になってほしいと願うなら、今から子どもの行動や挑戦に正面から向き合い、思いや考えに寄り添う声かけを目指していきたいですね。

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玉居子泰子
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