コロナ禍で飲食店は「2ヵ月で資金がショート」…それでも医療現場を支援する料理人たち (1/2) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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コロナ禍で飲食店は「2ヵ月で資金がショート」…それでも医療現場を支援する料理人たち

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中原一歩AERA#新型コロナウイルス
連休で本来なら人でにぎわうはずの街に、人通りはほとんどない(撮影/写真部・東川哲也)

連休で本来なら人でにぎわうはずの街に、人通りはほとんどない(撮影/写真部・東川哲也)

 新型コロナウイルスの影響で、多くの飲食店が営業自粛を余儀なくされている。しかしそんな苦境の中、レストラン経営者、料理人たちが医療従事者を食事で支援しようと立ち上がった。「Smile Food Project(スマイルフードプロジェクト)」を結成し、週に5回、手作りのお弁当を東京都内・近郊の医療機関に無償で届けている。AERA 2020年5月18日号では、その活動に賛同する飲食店を取材した。

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 中国料理店慈華(いつか)のオーナーシェフ・田村亮介さん(43)は、プロジェクトが立ち上がった当初から参加している。昨春までは料理の師匠から引き継いだ西麻布の店舗で腕を振るっていた。しかし、再開発で立ち退きが決定。昨年12月、心機一転。自己資金を投入し、南青山の一等地に新店舗を構えた。料理人人生を賭けた再出発。移転の噂を聞きつけた客で、予約帳が埋まり経営が軌道に乗り出した矢先、コロナ禍に遭遇した。現在、レストラン営業は断念し、テイクアウトのみで営業している。

「レストラン営業を継続するか、休業するかを決断するまでは胸が締め付けられる過酷な日々でした。けれども、いったん休業を決めてからは楽になった。黒字を出すのではなく、赤字をどうやって出さないかだけ考えています」

 そんな最中、医療関係者に料理を届ける支援の話が舞い込んだ。田村さんは、レストランでなくとも、自分が作った料理で誰かが少しでも幸せになるのならと手を挙げた。自分には料理を作ることしかできない。胸の内には、料理人としての矜持と意地が静かにたぎっていた。宅配当日、早朝6時からキッチンに立った。作ったのは店の看板メニューで中国山椒など麻辣(マーラー)を利かせた「麻婆豆腐」。医食同源の考えのもと英気を養ってほしいという思いを込めた。食の世界では、料理をおいしくするのは「手の油」という言い方がある。手抜きをせずに作る様から、この言葉は相手に対する思いやり、優しさを連想させる。田村さんらの思いは、確実に医療現場に届いていた。


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