緊急事態宣言が延長され、休校も2カ月を過ぎた。新学期が始まり、ゴールデンウイークが過ぎた今、学校側もいよいよ本格的に発信をし始めた感がある。ICT(情報通信技術)環境が整わない公立小学校ではどのような動きをみせているのだろうか。

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 ゴールデンウイーク明け、メーカーで派遣社員をやっているめぐみさん(仮名)は久しぶりに出社をするなり、大きなため息をついた。

 その日の朝、小3になった娘のリナちゃん(仮名)が通う小学校に、5月末までの課題を受け取りに行ったのだという。

「昇降口に担任の先生がいらして、そこで課題の受け渡し。まず4月分の課題を渡してチェックを受ける。そして、今月分の課題を受け取ったのだけど、4月のときよりも、格段に分厚い封筒を渡されて……。1週間ごとの課題が4教科分ビッシリ書かれていて、保護者には丸つけの指示と、教え方のアドバイスも。『時間割を自分で作ってみよう』とあったんだけど、大人だって、このボリュームの課題を1日ずつ振り分けるのは難しい」

 とぼやく。

 実はめぐみさんの悩みは、課題の量だけではなかった。

「休校になってから、すっかり娘が勉強嫌いになっちゃって。『勉強しようね』というだけで拒絶反応を起こすんです」

 こうなったのにはめぐみさん自身にも思いあたることがあった。

 4月の緊急事態宣言が出てからめぐみさんの仕事もリモートワークがメインになり、1週間のほとんどを自宅で仕事をすることになった。リナちゃんには4歳になる弟がいるが、保育園も休園に。夫は公務員のため、ほぼ通常通りに出勤する。

 つまり、家の中で仕事、家事、小さい下の子の世話をしながらリナちゃんの勉強を見なければならないのだ。

「娘がもともと嫌いな漢字練習は毎日、算数プリントは冊子になるぐらいある。そして外に理科の観察に行く課題もある。隙間時間に勉強を見てあげるんですけど、もう時間が全然足りなくて、ぐずぐずしている娘に『いつになったら終わるの!」とまくしたてちゃって。それですっかり娘は勉強に対するモチベーションを下げてしまったんです」

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AERA編集部
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