トルコが侵攻のシリア国境は「第2のパレスチナ」に 田岡俊次氏がテロ警鐘 (1/3) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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トルコが侵攻のシリア国境は「第2のパレスチナ」に 田岡俊次氏がテロ警鐘

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田岡俊次AERA
AERA 2019年11月11日号より

AERA 2019年11月11日号より

 トルコがシリア北部のクルド人居住地域に侵攻し、実質的に占領した。停戦は成立したものの、今後はクルド人がゲリラ戦やテロで対抗する危険性が高い。AERA 2019年11月11日号に掲載された記事を紹介する。

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 10月9日、トルコ軍は同国の南側、シリア領内のクルド人部隊「シリア民主軍」の拠点を爆撃するとともに地上部隊が国境を突破して侵攻を開始、国境沿いに東西約440キロ、奥行き約30キロのシリア領の占領を目指した。22日にはロシアのプーチン大統領とトルコのエルドアン大統領の会談で「トルコ軍は進撃を停止、クルド人部隊は国境から30キロの地帯から撤退する。幅10キロの圏内ではトルコとロシアが共同パトロールする」という内容で合意し、一応停戦が成立した。だがクルド人には不満がつのり、パレスチナやかつての北アイルランドのような「危険地帯」になりかねない。

 クルド人はトルコ領内、シリア東部、イランとイラクの北部の山地などに住む、古来勇猛で知られるイラン系の民族だ。近世にはトルコのオスマン帝国の支配下にあったが、第1次世界大戦でドイツに付いたオスマン帝国が崩壊。その旧領が分割されたため、国境をまたいで少数民族として住むこととなった。

 トルコに約1600万人、イランとイラクにそれぞれ約700万人、シリアに約150万人がいると推定される。「国を持たない最大の民族」とも言われ、クルド国家の独立を切望してきた。このため「独立」や「自治権」を餌とする大国や近隣諸国に利用されては、見捨てられる悲運にあってきた。

 近年は米国に協力してきた。1991年の湾岸戦争後、米国はイラクのクルド人に約10億ドルの資金と武器を供与。イラクのフセイン政権転覆をはかったが、イラクは鎮圧に成功した。2003年に始まったイラク戦争では、イラク南部から進撃した米軍はすぐに北部の油田地帯に到達できなかったため、特殊部隊を北部に潜入させ、クルド人部隊を指揮することでイラク北部を早期攻略した。


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