天皇の「代替わり」で、新しい時代を迎えた。現憲法下で、退位によって 新天皇が即位したことは、“変わる皇室”を強く印象づけた。だが、実際は課題が山積であり、皇位継承問題もその一つだ。長年の取材経験を持つ皇室ジャーナリスト3人が、「女性天皇」「女系天皇」の容認の可能性など意見を交わした。
●座談会参加者
久能靖さん:元日本テレビアナウンサー。数々の報道番組を担当。「皇室日記」のキャスターを長年務めた
近重幸哉さん:「女性自身」皇室担当記者。長年皇室取材を担当。著書に『明仁天皇の言葉』など
山下晋司さん:元宮内庁職員・元「皇室手帖」編集長。現在はBSテレ東「皇室の窓」監修など
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──祝賀ムードに沸くいっぽうで、将来の皇位継承についての議論も急がれています。皇位継承権を持つ皇族が少ないという問題に直面しています。
久能:私がいい機会だと思ったのは、1日にあった「剣璽等承継(けんじとうしょうけい)の儀」です。これには、皇位継承権のある男性皇族しか出られません。30年前は両側に3人ずつ6人の男性皇族が立っていらっしゃったが、今回は秋篠宮さまと常陸宮さまの2人だけでした。あの場面を見た人は、「これは大変なことだ」と思ったはずですよ。
山下:継承者の減少を、誰もが認識しただろう場面でしたね。
近重:皇統は男系男子の継承で、126代にわたり繋いできました。それが現実問題として難しいとなると、対策を考えねばならなくなります。今回、光格天皇から202年ぶりに生前でのご譲位となりましたが、光格天皇の2代前は女性の後桜町天皇です。女性天皇はこれまでにも8人10代いらっしゃったので、女性天皇の復活は難しくないとも思います。そして、女性宮家については早急にと思います。しかし、女系天皇となると、これまでの天皇家にはなかったものですから、国民に説明し、慎重に検討しなければなりません。
山下:「女性宮家」という概念について、あまりにも誤解が多いですよね。先日、ある政治家が「女性宮家の問題を先に検討する」と言うのを聞いたのですが、明らかに誤解しています。本筋は皇位継承の問題であって、この二つを切り離すことはできません。民主党の野田政権のときに目新しい「女性宮家」という言葉が出てきて、マスコミが飛びつき、言葉が独り歩きしているように感じます。