「子連れ狼」小池一夫さん死去 生前語っていた「死ぬことは、祝福の中にある」 (2/2) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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「子連れ狼」小池一夫さん死去 生前語っていた「死ぬことは、祝福の中にある」

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福井洋平AERA
小池一夫さん(写真/本人提供)

小池一夫さん(写真/本人提供)

 どうすればカッコよく老いを受け入れられるか。僕は「上手に若さを卒業する」ことが大切だと思っています。僕の知り合いで、もう結構な年なのに若く見せようといろいろ努力している人がいる。「若い人が私のほうを見てくる」なんて言ってるけど、それは老いを認めず、無理な若づくりが目立っているからだろうと思うんですよ。年を取ることは「進化」なんです。若い人には絶対得られない経験と知識を持っているわけで、それに自信を持って若さを卒業していかないと。

 そのためには、若いうちから「やりたいことをやる」ことです。僕の周りには山登りをしたり若い人とバンドで日本各地を回ったり、いろいろなカッコいい老人がいる。共通していることは、いつでもやりたいことに一生懸命、淡々と取り組んでいること。そういう人は年を取ったからカッコよくなったんじゃない、若いときからすでにカッコいいんです。好きな人がいれば好きと言い、行きたいところには行き、やりたいことがあればやる。

 僕もこの年になって、やった後悔よりやらなかった後悔のほうがはるかに大きいことに気づきました。幸い、僕自身はやりたいことはかなりやってこられた。秋田から小説家を目指して上京して漫画原作者になり、大学で教えるようになってたくさん若い人とも会話をするようになった。70歳を超えてツイッターも始めて毎日更新し、81歳になった今ではフォロワーはもうすぐ45万人になる。ネットで様々な人と会話することで勉強になるし、新たな課題も見つかる。「面倒くさい」「おっくうだ」と思ってしまうと、もう老後ですよ。

 お金がない、時間がない、老後が心配だ──そうやって言い訳してやりたいことをやらないでいると、若いうちからもう老後の人生になってしまう。お金がなかったら本当に好きなものだけを見つけ、それとふれあえる時間をできるだけ増やせばいい。それに本当にカッコいい人は、つらい苦しいといった泣き言を言わない。そういう方が亡くなってはじめて、大変な苦しみに耐えておられたというお話を聞くと、すばらしい方だったんだなと思います。僕のつくる主人公は拝一刀(子連れ狼)みたいに無口な人が多い。それが世界的にも受け入れられている。よけいな愚痴を言わないというカッコよさは、きっと世界共通なんだと思いますね。

(構成/朝日新聞出版・福井洋平)

※AERA 2017年5月15日号より抜粋


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