「日韓は、距離も理解も近かった」 『ハゲタカ』の真山仁、初の社会派エッセー (1/2) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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「日韓は、距離も理解も近かった」 『ハゲタカ』の真山仁、初の社会派エッセー

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AERA#読書

真山仁(まやま・じん)/小説家。1962年、大阪府生まれ。新聞記者、フリーライターを経て、2004年に『ハゲタカ』でデビュー。著書に『シンドローム』など多数(撮影/小原雄輝)

真山仁(まやま・じん)/小説家。1962年、大阪府生まれ。新聞記者、フリーライターを経て、2004年に『ハゲタカ』でデビュー。著書に『シンドローム』など多数(撮影/小原雄輝)

 小説家の真山仁さんによる『アディオス! ジャパン 日本はなぜ凋落したのか』は、著者自ら震災被災地や沖縄、阪神工業地 帯など国内外を歩き、日本が直面している事象について語るエッセーだ。著者の真山さんに、同著に込めた思いを聞いた。

*  *  *
 これは私の心情の吐露──。

 小説『ハゲタカ』で愚直さを失い膨大な不良債権に苦しみもがく日本企業が外資に買い叩かれる姿を描いた真山仁さんは、初の「社会派エッセー」にこんな思いを込めたと話す。

 東日本大震災の被災地、沖縄、韓国、アメリカなど国内外を歩き、抱いた違和感をつづった。目的は「読者の固定観念を揺さぶること」。

 例えば、沖縄。メディアは盛んに「基地反対」と報道しているが、新基地建設に揺れる辺野古に行くと青い海が広がっているだけ。しかも地元の人に話を聞くと、沖縄県民は米軍そのものがごっそり沖縄から撤退するのを望んでいないように思える。なぜ、20年以上経っても普天間基地は移設されないのか。この放置状態にこそ、沖縄基地の問題が潜んでいるのではないかと見る。

 韓国に対しては、「近くて遠い国」で多くの韓国人が反日感情を抱いていると思っていた。韓国人にとって日本は憎悪の対象だ、と。だが、ソウルの空気を吸い、街で話を聞くと、それは偏見だと確信し、思った。

<日韓は、距離も理解も近い国>

 移転問題で大揺れに揺れた築地市場(東京都)では、日本社会の足を引っ張り続ける未熟な民主主義のシステムを感じ取る。

「都民から選ばれた都議によって一度は可決された移転計画案が、小池百合子知事によって中断された。議会で一度決めた計画を手続きなしに撤回する権利は、議会にも、ましてや知事にもない。小池知事は民主主義のイロハをわかっていないか、知っていてやったかのどちらかだと思う」

 社会の光と影をさまよい感じたのは、民主主義への危機感だ。民主主義が敗北すれば、自分たちに関係のないことには何の関心も示さない国民になっていくと警鐘を鳴らす。これからの日本を憂い、あとがきには<覚悟さえあれば、術はある>と書いた。


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