実は「思春期」は、小学中学年くらいからそこに向けての助走がはじまっているのです。『AERA with Kids秋号』(朝日新聞出版刊)では、小学生時代の思春期における親の対応を研究しています。今回は、子どものつく「ウソ」がテーマ。塾だ習い事だと忙しいいまどきの小学生。子どもたちのつくウソも複雑化し、ウソをつかなくてはならない場面も多くなっています。子どものウソへの対応を、認知科学者の松井智子先生に聞きました。

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「発達心理学の研究では『親が厳しく、いろいろな期待をかけられている子どもほどウソをつく』という報告があります。ひと昔前に比べて、中学受験を含む学習や習い事など、いまの子どもたちは大きなプレッシャーを背負っています。失敗が許されない、弱みを見せにくい、苦しいけれど親の期待に添いたい……という葛藤の末、ウソをつかざるをえない理由や、逃げ場のない気持ちがあるのです」と話すのは、認知科学者の松井智子先生です。まず、子どもがウソをつく背景には、そういった事情があること、そして子どもの気持ちを親は十分に理解したいところです。

 また、ひと口にウソといっても、その真意によって種類があります。すべてを過剰に心配したり、反対に目くじらを立てて断罪することはNG。怒られるのが嫌で、またウソをつくという悪循環に陥ってしまいます。自我が育つこの時期は、自尊心を不用意に傷つけないことも大切。親は子どものウソの種類を見極められるといいですね。そこで、小学生の中高学年にありがちなウソを集めてみました。対応のヒントも織り交ぜてあるので、ぜひ参考にしてみてください。

【タイプ(1)】逃げたいウソ(心配度★)

 親に「宿題終わったの?」と聞かれて「終わったー」と答える、あれです。宿題や片づけなど、やるべきことがあるのはわかっているけれど、そこから逃れたいためにつくウソ。やらなくてはいけない、ということはわかっているので、ときには見逃してあげてもいいでしょう。これが目に余るようなら、改善策を提案して、自分で考えるように仕向けてみましょう。そもそも、やるべきことの量が子どものキャパを超えていないかなど、親の冷静なチェックも必要です。

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AERA編集部
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