稲垣えみ子「海外生活でWi-Fiが切れ、その晩見た悪夢が…」 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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稲垣えみ子「海外生活でWi-Fiが切れ、その晩見た悪夢が…」

連載「アフロ画報」

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稲垣えみ子AERA#稲垣えみ子
稲垣えみ子(いながき・えみこ)/1965年、愛知県生まれ。元朝日新聞記者。著書に『魂の退社』(東洋経済新報社)など。電気代月150円生活がもたらした革命を記した魂の新刊『寂しい生活』(同)も刊行

稲垣えみ子(いながき・えみこ)/1965年、愛知県生まれ。元朝日新聞記者。著書に『魂の退社』(東洋経済新報社)など。電気代月150円生活がもたらした革命を記した魂の新刊『寂しい生活』(同)も刊行

異国の窓から空を眺める。空はどこにいても同じだよねと思って元気を出しております(写真:本人提供)

異国の窓から空を眺める。空はどこにいても同じだよねと思って元気を出しております(写真:本人提供)

 元朝日新聞記者でアフロヘア-がトレードマークの稲垣えみ子さんが「AERA」で連載する「アフロ画報」をお届けします。50歳を過ぎ、思い切って早期退職。新たな生活へと飛び出した日々に起こる出来事から、人とのふれあい、思い出などをつづります。

【稲垣さんのリヨンでの写真はこちら】

*  *  *
 今週はフランスのリヨンから。実は今、長年やってみたかったことの一つ「海外で暮らす」ことモドキに挑戦中なのであります。

 なぜリヨンかというと深い意味は全くなく、たまたま当地に用事があったので、ならば前乗りして2週間ほど滞在してみようかと。民泊でアパートを借り、市場で買い物して自炊して、カフェで仕事。つまりは東京でやっていることをここリヨンでもやってるだけなんだが、何しろ言葉が話せぬゆえ全てが冒険。というか恥をかきまくり人様に迷惑をかけまくる日々。そんな中で少しでも親切にしてくれる人がいると本当に跳び上がるほど嬉しく、ああ私も日本に帰ったら人様に親切にしようと強く思う。つまり海外滞在とは修業だったのでありました……。

 それはさておき、痛感したのは今や個人の海外旅行はインターネットが命綱になっているということです。詳細は省きますが2度大ピンチがありました。最初は電源確保が危うくなり、次はWi-Fiが切れました。いずれも通信手段がゼロになることを意味します。もちろんこの原稿も送れないし、送れないってことを伝えることもできない。まるで宇宙空間でどこからも切り離され浮遊するゴミ。

 Wi-Fiが切れた日、どうやって乗り切ろうかと心細く頭を巡らしながら寝たら夢を見ました。なぜか孤独死した人の死体処理を手伝うことになり、そのあまりの悲惨さに叫び声を上げそうになってハッと目が覚めた。しばらくボーッとしながら、確かにいま私がここで死んだら完全に孤独死だなと。そして、今も世界のどこかで腐乱し続けているであろう多くの孤独な死体のことを思いました。

 人の繋がりとはなんとはかなく弱いものでしょう。繋がっているつもりでいても、それは何かの拍子で容易に切れてしまうのです。だからこそ日々、人と繋がり続ける努力を続けなければなりません。人に助けられ、人を助けること。どこにいても、どんな小さなことであってもそれを見つけなければ。

AERA 2018年4月2日号


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稲垣えみ子

稲垣えみ子(いながき・えみこ)/1965年生まれ。元朝日新聞記者。超節電生活。近著2冊『アフロえみ子の四季の食卓』(マガジンハウス)、『人生はどこでもドア リヨンの14日間』(東洋経済新報社)を刊行

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