7月18日の記者会見では、蓮舫氏自身が「こうした開示は私で最後に」「きわめてレアなケースとして公表する」と、戸籍の公開がイレギュラーな対応だと繰り返した(撮影/編集部・山口亮子)
7月18日の記者会見では、蓮舫氏自身が「こうした開示は私で最後に」「きわめてレアなケースとして公表する」と、戸籍の公開がイレギュラーな対応だと繰り返した(撮影/編集部・山口亮子)

 多様なバックグラウンドを持つ人が増えるなか、自らが「日本人」だと証明するために戸籍を示した蓮舫氏。なぜこんなことになったのか。

 日本国籍と台湾籍の「二重国籍問題」で、民進党代表の蓮舫氏が戸籍謄本の一部を公開した。台湾籍離脱の手続きを尽くした証拠を示し、説明責任を果たすためだという。「出自による差別を助長しかねない」という批判の中での開示。「二重国籍問題」とは、何だったのか。

 蓮舫氏は1967年、東京で、台湾人の父と日本人の母の間に生まれた。当時の国籍法は父系主義。蓮舫氏は台湾籍だったが、85年の国籍法改正で国籍選択が可能になり、日本国籍を取得した。その際、台湾籍放棄の手続きが行われず、二重国籍状態となっていたとされる。

●二重国籍排除規定なし

「問題」化は、蓮舫氏の民進党代表選立候補を受けて「将来の首相候補として二重国籍者はふさわしいのか」という指摘があったことが発端。国籍法が22歳までに国籍の選択を求めていることを受け、金田勝年法相は蓮舫氏の民進党代表就任後の2016年10月、「国籍法上の義務に違反していた」と発言したが、実際は努力義務で、これまで二重国籍の解消を迫るような厳格な運用はされていない。法相は二重国籍の解消を求める催告ができるが、催告が行われたこともない。

 しかも、公職選挙法は国会議員に日本国籍であることは求めているが、外国籍の人を排除はせず、外国籍を持つ人の就任が禁じられている職業は外交官のみ。内閣トップとして外交交渉にあたる首相については議論があるが、外国籍や二重国籍の人を排除する明確な規定はない。

 代表選中に「(日本)国籍選択の宣言をした。私は日本人」と明言していた蓮舫氏が説明を二転三転させ、実際は台湾籍が残っていたことも事態を悪化させたが、戸籍は究極の個人情報だ。85~14年度に生まれた日本国籍のある人のうち約83万人に二重国籍の可能性があったとされる。二重国籍状態が違法かどうかは議論があるのに、戸籍を開示してまで説明責任を果たす必要はあったのか。

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