通常は複数の局を束ねて所掌事務を4人で分担しあう東京都副知事だが、猪瀬氏就任の条件は「担務なし」。これも内田氏ら都議会の意向だったという(撮影/工藤隆太郎)
通常は複数の局を束ねて所掌事務を4人で分担しあう東京都副知事だが、猪瀬氏就任の条件は「担務なし」。これも内田氏ら都議会の意向だったという(撮影/工藤隆太郎)

 石原都政の副知事を経て、2012年の都知事選で圧勝した猪瀬直樹氏。徳洲会グループからの資金貸借問題で追及され、就任1年余りで辞任に追い込まれた。長年放置されてきた都議会自民党の闇に光を当て、小池知事誕生を後押しした。

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 5年前、樺山卓司都議(享年63)が自殺しました。のし袋に走り書きした遺書をその1年後に樺山さんの奥様が見つけ、私に託された。都議会のドンとされる内田茂氏のパワハラが自殺の原因であることがうかがえる。都知事選直前、私がツイッターでこの遺書を公開すると、リツイートは1万3千を超えた。これは東日本大震災時にライフライン情報を発信した際のリツイートに匹敵する数で、閲覧者にすると数百万人レベル。これで関心が高まり、最後は小池さんの選挙カーに樺山さんの奥様も同乗、湧き出るように人が集まった。ネットが大きな力を発揮した選挙でした。

 内田氏と対立するきっかけは、副知事就任後に最初に手をつけた、参議院清水谷議員宿舎の建て替えの凍結。新築の衆議院赤坂議員宿舎が豪奢で相当批判されたので、建つ前に手を打とうと「このままじゃダメでしょう」と石原さんを現場に連れていくと、「うーん」と迷ってた。いま考えてみると内田氏の利権のど真ん中の千代田区で、これで恨みを買ったみたいですね。

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