子宮頸がんワクチンの「突然の」推奨中止にとまどいと波紋が広がっている (c)朝日新聞社 @@写禁
子宮頸がんワクチンの「突然の」推奨中止にとまどいと波紋が広がっている (c)朝日新聞社 @@写禁

 今年度から子宮頸がんの予防ワクチンが定期接種となった。だが3月末からこのワクチン接種後、「体調を崩して回復しない」という訴えが相次いでいる。実際にはどんな症状がみられるのだろうか。

 厚労省には、予防接種の安全性や接種後の副反応を検討する委員会(以下、検討会)がある。医薬品は市販後、医療機関と製薬メーカーの2ルートで接種後のあらゆる症状が厚労省に報告される(「有害事象」と呼ばれ、ワクチンとの関連の有無は関係ない)。検討会では、特に希少事例について検討、予防接種を続けるかどうか判断する。

 ワクチンには「サーバリックス」「ガーダシル」の2種類があるが、サーバリックスの場合、販売後の推計接種回数約695万回のうち、540種類1705件の症状の報告があった。そのうち、医療機関で医師が入院相当以上の「重篤」と判断した事例は91件だった。これは100万人中13人にあたる。

 だが検討会の報告資料にあがっていない事例が多数あると、「全国子宮頸がんワクチン被害者連絡会」が結成された。体のあちこちの痛み、手足のしびれや筋力低下、歩行困難、意思とは関係ない体幹や手足の動きが続くなどの訴えがあった。

 例えば福島県に住む16歳の女子高生は、2年前に1回目の接種を受けた。全身がだるくなったが、気に留めなかった。1カ月後に2回目を接種した後、発熱や頭痛、筋肉痛、肩こり、身体のだるさがあった。それから7カ月後に3回目の接種を受けて65日後、全身の関節痛でベッドから起き上がれなくなり、病院を受診。体に触れただけで痛いため、薬を飲み続けた。

 別の大学病院のリウマチ・膠原病(こうげんびょう)科で自己免疫性疾患の「全身性エリテマトーデス」と診断され、すぐに入院。2カ月で2回のステロイドパルス療法(ステロイド薬を大量に投与する治療法)を受けたところ、少しずつ改善し、現在は通学しているが、得意な体育の授業には参加できず、見学を続けているという。

AERA 2013年7月1日号