1月号島旅ライター 清水浩史 Shimizu Hiroshi離島・秘島・無人島――人はなぜ、島に惹かれるのか (1/2) |AERA dot. (アエラドット)

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1月号
島旅ライター 清水浩史 Shimizu Hiroshi
離島・秘島・無人島――人はなぜ、島に惹かれるのか

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『不思議な島旅 千年残したい日本の離島の風景』
朝日新書より発売中

 なぜ人は島を旅するのか――。という問いは、なかなか難しい。なぜなら島旅といっても、趣味嗜好は自然やレジャー、文化、食などと、個々人で異なるためだ。

 ただ、島旅を愛する人には、一定の行動様式があるように思える。30年来の島旅を通じて私なりに考えてみると、次の3つの傾向が挙げられる。
「できるだけ人のいない場所に行きたがる」
「ひとり旅が好き。もしくは少人数」
「広い空と海を愛する」

 どうだろうか。これらの傾向の根底には、おそらく「ノイジーな日常からの逃避」「広い静かな世界への憧れ」がある。多数が集まる場所よりも、自分だけの秘密の場所を探したい。集団行動を避けて、自分に向き合える静かな場所に身を置きたい。新鮮な空気を胸いっぱい吸い込みたい。そういった憧憬や欲求が、きっと島々を旅する原点になっている。

 そう、まさに、コロナ禍になる以前から「3密(密集、密接、密閉)」を避けてきたのが、島を愛する人たちだ。島旅が好きな人は、とかく人と群れたがらない。だから都会の人混みを避けるようにして、静かな島へと足を運んでいるのではないか。かくいう私も、ひとり旅ばかりで、飲み会といった大勢が集まる場所は苦手だ。

 とはいえ、コロナ禍は無情なもの。もともと「3密」を避ける行動様式があるといっても、結局はコロナ禍で島を旅することがままならないからだ。この、得もいわれぬ、もどかしさ。きっと島を愛する多くの人は「島の人に無用な心配をかけたくない」と考え、旅を控えがちなことだろう。そうして旅は、延々、先延ばしを強いられる。イライラが募ると、狭量な私は「コロナ禍が一向に終息しないのは、結局は3密好きの人のせいじゃないか」などと、ときに視野狭窄に陥りそうになる。

 いけない、いけない。

 このように2020年はコロナ禍に振り回されつづけたものの、さすがに今年は自由に島へと旅立ちたい。

 そんな来るべき島旅に備えて、『不思議な島旅』をこのたび著した。人口ひとりの島の日常、絶滅危惧の風習、失われつつある暮らしなど、小さな島々に息づく「不思議」「稀少性」を一冊にまとめた。


(更新 2021/1/ 4 )


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