
かつて、ある野党の代表に、「自民党の批判をしているだけでなく、この国を良くするためにどうすべきか、いろいろな方策を考えるべきだ」と提案して、議員たちの勉強会を始めたのだが、あまりにも集まりが悪いので3回でやめてしまったことがある。
これは野党議員にやる気がないのではなく、選挙活動にエネルギーの大半を費やし、勉強会に出席する余力がないためなのである。
もっとも、その後、与野党の議員たちやエコノミスト、経済官僚たちで、ふたたび勉強会を立ち上げた。1980年代にはジャパン・アズ・ナンバーワンと称され、世界一の経済大国であった日本が、90年代に入って、なぜ劣化したのか、なぜ活性化できないのか、という深刻な問題を解明するための勉強会である。
さらに、日本のジェンダーギャップ指数は世界で116位とやたらに低い。女性衆院議員は10%弱で、先進国で最低である。そこで、2年前に女性国会議員たちによる超党派の勉強会を発足させた。自民党から立憲民主党、共産党まで、どの参加者も非常に熱心であり、近い将来、全政党が選挙に出馬する女性候補を3分の1以上にするというクオータ制を導入することになるはずである。
政治家たちに物足りなさを感じて久しい。年寄りの私がいつまで発破をかけなければならないのか。奮起を促したいのである。
田原総一朗(たはら・そういちろう)/1934年生まれ。ジャーナリスト。東京12チャンネルを経て77年にフリーに。司会を務める「朝まで生テレビ!」は放送30年を超えた。『トランプ大統領で「戦後」は終わる』(角川新書)など著書多数
※週刊朝日 2023年5月19日号