作家・室井佑月氏は、立憲民主党の菅直人元首相の「ヒットラー」投稿をめぐる報道姿勢に違和感があると指摘する。
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「TBS NEWS JNN世論調査」が2月5、6日に、立憲民主党の菅直人元首相が日本維新の会について「ヒットラーを思い起こす」とツイッターに投稿したことについて、世論調査をかけた。結果は、
「非常に問題だ 19%。表現は自由だが、やや問題だ 51%。表現は自由で、あまり問題ない 18%。全く問題ない 6%。答えない・分からない 6%」
というものになった。つまり、70%の人間が問題があると思っていることになる。
ことの発端は1月21日に、菅元首相がツイッターで、元維新の会代表の橋下徹弁護士を「弁舌の巧みさでは(中略)ヒットラーを思い起こす」と書き込んだことだ。これに対して橋下氏は、「ヒットラーへ重ね合わす批判は国際的にはご法度」とツイートした。吉村洋文大阪府知事は「国際法上ありえない」と会見で答え、維新の会は26日、立憲民主党に抗議文を提出した。
でも、ヒトラーにたとえて批判することは、国際的によくされていることだ。つまり、橋下氏の「国際的にはご法度」はもちろん(てか、この方はご自分でも過去何回か、ヒトラーにたとえて個人や党の批判をしている)、吉村知事の「国際法上ありえない」というのは、事実とはいえない発言だ。
なのに、菅氏のツイッターについて維新が党をあげて騒ぎだしたら、メディアはそれをそのまま、記事にしたり流したりした。
そして、この世論調査の結果だ。メディアは恥ずかしく感じたりはしないのだろうか。
……感じたりしないのだろうな。デマをデマだといわずそのまま報じたことと、その結果、多くの人はどう感じたかということは、彼らにとっては別物なのだろう。
だから、東京五輪を宣伝しながら、コロナ感染拡大の恐怖をあたしたちに訴えるということもできた。それはそれ、これはこれ。