監督・脚本 濱口竜介/20日からTOHOシネマズ日比谷ほか全国公開/179分 (c)2021『ドライブ・マイ・カー』製作委員会
監督・脚本 濱口竜介/20日からTOHOシネマズ日比谷ほか全国公開/179分 (c)2021『ドライブ・マイ・カー』製作委員会
監督・脚本 濱口竜介/20日からTOHOシネマズ日比谷ほか全国公開/179分 (c)2021『ドライブ・マイ・カー』製作委員会
監督・脚本 濱口竜介/20日からTOHOシネマズ日比谷ほか全国公開/179分 (c)2021『ドライブ・マイ・カー』製作委員会

 8月20日から映画「ドライブ・マイ・カー」が全国公開される。数々のベストセラーを生み出してきた作家・村上春樹による傑作短編小説の映画化に、自ら脚本も手掛け挑んだのは、「ハッピーアワー」「寝ても覚めても」等で世界から注目を浴びる気鋭の濱口竜介監督。共同脚本は大江崇允。

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 舞台俳優であり演出家の家福(西島秀俊)は、愛する妻の音(霧島れいか)と満ち足りた日々を送っていた。しかし、音は秘密を残して突然この世からいなくなってしまう。

 2年後、広島での演劇祭に愛車で向かった家福は、ある過去を持つ寡黙な専属ドライバーのみさき(三浦透子)と出会う。さらに、かつて音に紹介された俳優・高槻(岡田将生)の姿をオーディションで見つけるが……。

 喪失感と“打ち明けられることのなかった秘密”に苛まれてきた家福。みさきと過ごし、お互いの過去を明かす中で、彼はそれまで目を背けてきたあることに気づかされていく。人を愛する痛みと尊さ。最愛の妻を失った男が葛藤の末に辿り着く先とは──。

本作に対する映画評論家らの意見は?(★4つで満点)

■渡辺祥子(映画評論家)
評価:★★★★
妻を亡くした演出家が、車の運転を取り上げられて未知の女性に任さざるをえない。芝居の演出から生まれる感情、女性ドライバーと2人きりの微妙な空気。揺れ動く気持ちが生む静かな緊張が魅力だしステキでもある。

■大場正明(映画評論家)
評価:★★★★
死者とどう向き合い、喪失を受け入れるのか。その答えを探すためにちりばめられたパズルのピース。映画内演劇、多言語や手話に加えて、制御しがたい無意識が生み出す人格や物語まで盛り込んだ緻密で複雑な脚本にうなる。

■LiLiCo(映画コメンテーター)
評価:★★★
観る前は3時間?と若干引き気味でしたが、その時間は感じず、最初のエロティックサスペンスからの人生を見つめる時間。確かにこの尺は必要かも。観客に投げ掛けることが多いけど、見終わってから考える時間も良い。

■わたなべりんたろう(映画ライター)
評価:★★★
前作に引き続き濱口監督が原作を大胆に映画化。うまく機能していない箇所もあるが、野心的な挑戦が素晴らしい! エピソードの交錯及び登場人物の過去への語りがいまひとつで、エピローグに感情が高まらなかった。

(構成/長沢明[+code])

週刊朝日  2021年8月20‐27日号