芳村真理 亡き夫との別れの挨拶なしでも「これでよかった」 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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芳村真理 亡き夫との別れの挨拶なしでも「これでよかった」

大崎百紀週刊朝日
芳村真理さん (提供)

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夫婦じまい 伴侶と話しておきたい55のこと (週刊朝日2021年2月19日号より)

夫婦じまい 伴侶と話しておきたい55のこと (週刊朝日2021年2月19日号より)

夫婦じまい 伴侶と話しておきたい55のこと (週刊朝日2021年2月19日号より)

夫婦じまい 伴侶と話しておきたい55のこと (週刊朝日2021年2月19日号より)

 2018年に夫を亡くした女優の芳村真理さん。生前に夫婦でどんなやりとりがあったのか、そして悔やまれることは何か。

【いつかくる夫婦じまいのために 伴侶と話しておきたいこと一覧はこちら】

*  *  *
 50年連れ添った主人は認知症になり、最期は老人ホームで大好きな孫たちに囲まれて逝きました。皆でワイワイおしゃべりをし、アイスを食べ、孫のマッサージを受けながらの旅立ちでした。私たち二人はかなりアバウトな性格で(笑)、お金の管理は主人に任せっきり。今は近くにいる息子が私をフォローしてくれています。主人に頼まれていたのかもしれませんね。

 主人と「夫婦じまい」の話なんて、私にはできませんでした。それは悲しすぎます。認知症で亡くなりましたから、改まった別れの挨拶もありませんでした。でもこれで良かったと思っています。

 ただ「今度はもっと早く会おうな」と言われたのは覚えています。再婚でしたし、いろんな人を傷つけてしまいました。それが私たち夫婦の悔いではありました。

 そんな主人の介護を一人で頑張ってやってきましたが、目を離した隙にバスに乗って行方不明になったこともあった。もう限界かも、と施設への入所を検討しました。

 決めたのは若くて口紅をつけたキレイな女性がいっぱいいるところ(笑)。美女に囲まれて主人は楽しそうでした。初日から階段をかけ上がり、わが家のようにテレビの前で新聞を広げ、「ママ、もう帰っていいよ」なんて言う。それを見て安心しました。互いに要介護状態になったとき、どんな介護をされたいのか、夫婦で話し合っていなかったことが悔やまれますが、主人にとっては良いタイミングでの入所だったと思っています。彼の笑顔を最後まで見られましたし。

 本音をいえば、もっとそばにいてほしかった。まさか、私が残されるとは、そんな気分です。

 どこに行くにも何をするにもいつも一緒の夫婦でした。彼を失ってから出かけるのが億劫になってしまったのが、悲しいことです。二人で一緒に行っていたところに一人で行くということは、まだできません。6歳のジャッキー(愛犬)も今は私のそばから離れません。でも私、頑張らないといけませんね。主人の分まで生きます。歌もとてもうまくて、フランク・シナトラとも仲が良く、「マイ・ウェイ」なんてシナトラばりの甘い声が素敵でした。もう一度、彼の歌声が聴きたいです。(構成/本誌・大崎百紀)

週刊朝日  2021年2月19日号


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