楽天証券経済研究所の香川睦チーフグローバルストラテジストは、今回の個人投資家を「イナゴ的な集団的投機筋」だとする。「非常に珍しいことが起きて市場がうろたえた」。自然界ではイナゴ(バッタ)が大量発生し、農作物に悪影響を及ぼすことがある。

 ただ、日本ではこうした取引は起きにくい。株価の1日の動きについて値幅制限があるためだ。さらに、eワラント証券の多田幸大投資情報室長は「米国ではオプション取引が成熟していた」と指摘。例えば、ある株を1カ月後に1千円で買える権利(コールオプション)が100円で手に入るような取引が盛んだ。今回の売買も「少額で“買い圧力”をかけることはできた」(多田氏)が、日本ではこの手法の取引がほとんどない。

 たとえ個人がイナゴの大量発生のように買いあさっても、影響は米国ほど大きくないという。(本誌・浅井秀樹)

週刊朝日  2021年2月19日号