安倍前首相の国会招致で揺れる菅自民党(C)朝日新聞社
安倍前首相の国会招致で揺れる菅自民党(C)朝日新聞社

 東京地検特捜部が捜査している安倍晋三前首相の桜を見る会の「前夜祭」の補填問題。特捜部は安倍前首相に事情聴取を要請するとされ、捜査は大詰めを迎えた。

 そして安倍前首相を国会に招致して尋問することも決まりつつある。

「安倍前首相の地元の支援者に、安いパーティ代金しかとらず、残りを事務所で年間も補填していた構図。公設秘書が容疑の大筋を認めているが、監督者として安倍前首相がどの時点で補填を把握していたのか、そこがポイント」(捜査関係者)

 しかし、安倍前首相自身の刑事責任を問うのは、難しいようで政治資金規正法違反(虚偽記載)でおさまりそうな方向だ。

  これまでの「補填はない」としていた安倍前首相の話についても国会答弁なので「偽証」には問われない。今、自民党でギクシャクしているのは、安倍前首相の「国会招致」だ。

「年内で安倍前首相の疑惑は終わって、いよいよ新年という時に、なぜ党は国会招致に同意するんだ」

 こう不満をぶちまけるのは、安倍前首相のもとで閣僚も経験した自民党のベテラン議員。安倍前首相の派閥、清和会の所属議員もこう憤慨する。

「菅首相は、問題になっているステーキ8人会食も『二階幹事長と親しい方の集まりだから、挨拶に行った』と話しているようだ。だいたい安倍前首相の国会招致なんて、菅首相の了解なしで、党幹部がオッケーするわけない。菅首相が親しい二階氏、森山国対委員長と通じて国会招致となったのではないか。安倍前首相の3度目の登板を阻もうとする、策略か。誰の支援で総理の座についたか、わかっているのかと言いたい」

 菅首相・二階幹事長連合と安倍前首相の出身派閥・清和会との対立。それを如実に示すのが、菅首相とコロナ担当の西村康稔経済再生担当相の関係だ。菅首相は安倍政権時代から西村氏とはソリが合わなかった。西村氏は清和会所属で安倍前首相とも近い。組閣では西村氏外しも検討されたが、新型コロナウイルス対応の継続性を考慮して、再任した。

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西村コロナ担当相と官邸で対立