「歴代ファーストレディは、社会的な活動やメッセージを発信するのですが、メラニア夫人にはこれと言った功績がなかった。彼女にとっては、自分を失った4年間だったのかもしれません」(多賀氏)

 過去には、トランプ氏が手をつなごうとしたのを払いのけ、嫌悪感を抱いていると受け取られる場面も話題になった。

「トランプ氏は『アメリカファースト』を掲げて移民を排除する政策を推進していましたが、スロベニア出身のメラニア夫人も移民ですから、内心、不満や葛藤があったのではないでしょうか」(同)

 大統領ではなくなった夫を見捨てるようにも見られるが、自らをトランプ氏から「解放」されることで、メラニア夫人は自由を手に入れることになるのかもしれない。

 一方、トランプ氏が失うことを本当に恐れているのは、妻よりも敗北後の訴追ではないかという見方もある。国際ジャーナリストの春名幹男氏が解説する。

「16年の米大統領選をめぐる『ロシア疑惑』に絡み、捜査を中断させようとした司法妨害の疑いが濃厚とされており、大統領を辞めると逮捕される可能性があります」

 この窮地を避けるためには大統領であり続けるしかないため、「敗北宣言」に踏み切れないのではないかという見方もある。「ウルトラC」的な方法としてささやかれているのは、任期中にあえて辞任し、ペンス副大統領を大統領に昇格させることだ。

「大統領になったペンス氏がトランプ氏に対して刑事責任を問われない免責特権を約束すれば、訴追を逃れられるでしょう。過去には、ウォーターゲート事件で1974年8月にニクソン大統領が辞任した際、副大統領のフォードが大統領に昇格して免責を与えた例があります。これによってニクソン氏は罪に問われませんでしたが、フォードは2年後の大統領選で敗北しました」(春名氏)

 ピンチが続く中、トランプ氏の「逆襲」はあるのだろうか。

(本誌・岩下明日香)

※週刊朝日オンライン限定記事