田原:野党協力で言えば、この間、国民民主党の玉木(雄一郎)代表に会った。連立政権を作るときは参加するかと聞いたら、参加すると言っていた。

志位:野党で一緒に政権を作ろうと、昨年以来、各党の党首と話し合いをしてきました。この5年間でも3回の国政選挙を野党共闘でたたかってきました。

田原:でも全部、自民が勝っている。

志位:でも、注目してほしいのは、16年、19年の参院選。野党は32の1人区で全部一本化し、16年は11で、19年は10で勝ったんです。これは大きいと思っています。ただ、17年の総選挙は、民進党が立憲と希望に割れて本格的な野党共闘にならなかった。だから今度こそ総選挙で、日本維新の会は別として、立憲、国民、社民党、れいわ新選組含め、オール野党で政権交代を目指したい。

田原:ただ、菅内閣の支持率は朝日新聞で65%、読売新聞や日経新聞では70%以上もある。

志位:それは新しい政権で多少期待してみようかという気持ちの表れでしょう。ただ、いくら期待が高くても、菅政権がやろうとしているのは、史上最悪の安倍内閣の継承です。

田原:7年8カ月続いた安倍内閣は史上最悪と。何が最悪ですか。

志位:森友・加計問題や桜を見る会といった疑惑などいろいろあるけれども、15年の安保法制。これは廃止しなきゃならない。戦後の内閣が、憲法9条の下で許されないと言ってきた集団的自衛権を、行使できるという方向に百八十度ひっくり返して強行したわけです。権力を憲法が縛るという立憲主義の根本が壊された。これは非常に大きな負の遺産だと思っています。

>>【後編】共産・志位和夫が政権奪取で目指す三つの柱「正社員を当たり前に」へ続く

(構成/本誌・秦正理)

週刊朝日  2020年10月9日号より抜粋