宮本議員の資料請求があったから、内閣府は慌てて招待者名簿を廃棄したのではないか。

 野党のこうした質問に対して安倍首相は、「内閣府で廃棄することは、シュレッダー利用の予約がされた4月22日の時点で決まっていて、シュレッダーを利用できたのが、たまたま5月9日のその時間なのであって、共産党の資料請求とはまったく無関係だとの報告を受けている」と答えた。

 そして、シュレッダーによって廃棄したので、招待者名簿を確認するのは不可能だ、とも述べた。

 私も含めて、国民の半数以上は、こうした安倍首相の説明には納得できなかったはずである。

 宮本議員の資料請求の日と、招待者名簿の廃棄日がたまたま一致するなどということがあり得るのか。

 そして、その後、菅義偉官房長官が、招待者名簿はバックアップデータに8週間残っていたと述べた。

 となると、シュレッダーで廃棄したので、招待者の確認は不可能だという内閣府の報告はまったくのウソだということになる。

 菅官房長官は「ただし、バックアップデータは公文書ではないので公表はできない」と述べた。だが、この説明に納得できる国民は一人もいないであろう。

週刊朝日  2019年12月20日号

著者プロフィールを見る
田原総一朗

田原総一朗

田原総一朗(たはら・そういちろう)/1934年、滋賀県生まれ。60年、早稲田大学卒業後、岩波映画製作所に入社。64年、東京12チャンネル(現テレビ東京)に開局とともに入社。77年にフリーに。テレビ朝日系『朝まで生テレビ!』『サンデープロジェクト』でテレビジャーナリズムの新しい地平を拓く。98年、戦後の放送ジャーナリスト1人を選ぶ城戸又一賞を受賞。早稲田大学特命教授を歴任する(2017年3月まで)。 現在、「大隈塾」塾頭を務める。『朝まで生テレビ!』(テレビ朝日系)、『激論!クロスファイア』(BS朝日)の司会をはじめ、テレビ・ラジオの出演多数

田原総一朗の記事一覧はこちら