書き込みを見た人から問い合わせがあり、報道機関の取材もあって、発表に追い込まれた。日覚昭広社長は28日の会見で、昨年10月に報告を受けていたが、当初は公表するつもりがなかったことを認めている。

「インターネットの掲示板で書き込みがあり、株主などから問い合わせがあった。うわさが広まる前に、正確な内容を説明すべきだと考えた」(日覚氏)

 企業不祥事やコンプライアンスに詳しい郷原信郎弁護士は、こうしたネットを通じた内部告発が広がる可能性を指摘する。

「書き込みが相次ぎ、そのたびに経営トップが謝罪会見に追い込まれる事態になりかねない。データ改ざんは多くの企業で行われていたはずで、安全性や実質的な品質に影響がなければ公表する必要はない。公表によって誤解が生じ、かえって社会に不安と混乱を引き起こす恐れがある。企業が不必要なダメージを受けないためにも、国の主導で集中アンケートなどの対策を検討すべきだ」

 日本のものづくりへの信頼をどう回復するのか、企業だけでなく国の姿勢も問われる。(本誌・多田敏男)

週刊朝日  2017年12月15日号