「引退して社会的な責任、制裁を受ければ、貴ノ岩と話して和解に持ち込める、起訴されずに済むというアドバイスが周囲からあったそうです。というのも、県警が同席した力士に『鳥取のスナックで現場に立ち会ってもらい検証するかも』と通告したそうです。そうなると事件解明が進み、これまでの日馬富士側の主張がひっくり返されるかもしれません。モンゴル仲間が『貴ノ岩の態度も悪い。だから注意の意味で殴った。しかし、白鵬が入ってその場で和解し、酒の席上のことなので双方、悪い』という感じで状況をマスコミに喋って援護射撃しても、警察の調べが進むとそんなごまかしでは通じない。同席した力士らが『もう今までの話では通せないですよ』と言い出したそうです」(相撲協会関係者)

 日馬富士、伊勢ケ浜親方にとって想定外は貴乃花親方の頑なな態度だったという。

「あそこまで頑なで、被害届だなんてまったく思っていなかったというんですね。日馬富士は貴乃花親方の態度で思い知り、もうごまかしはきかないと。辞めることで、なんとか貴ノ岩や貴乃花親方に許しを請いたいと思ったようです。場所前から後援者や関係者がいろいろと手段を尽くして、貴乃花親方に貴ノ岩との示談、和解を探ったようですが、全く通じなかった。それどころか、貴ノ岩側が態度を硬化させ、ケガの写真まで出してきた。『自分で決着をつけて混乱を収めたほうがいい』と伊勢ケ浜親方に相談し、引退になったようだ。だが、その気持ちが貴ノ岩、貴乃花親方に通じるのかわからない。引退と事件は別、県警は捜査を続けるので、今後も苦しい状況が続くでしょう」(同前)

 日馬富士は16歳でモンゴルから来日し、伊勢ケ浜部屋へ入門。2012年秋場所後に横綱に昇進。9回の優勝を果たしたが、志半ばで角界を去ることになりそうだ。

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