朝日新聞は8月、愛媛県と今治市(以下、今治市)の獣医学部新設提案についてのヒアリングの議事要旨に〈加計学園幹部が出席し、教員確保の見通し等について答弁したにもかかわらず、その出席も答弁も記載していなかった〉と報じた。議事要旨が偽装されていたというのである。

 この事実は、【1】「加計隠し」が当初から周到に行われた可能性がある【2】特区WGの八田達夫座長や特区諮問会議の竹中平蔵有識者議員による要旨偽装・虚偽発言【3】安倍首相らの「加計隠し」と不当かつ不公平な特区審査、及び大学設置認可行政への不当介入──という3点で極めて重大だ。

 今治市特区提案が特別扱いされたことは、次の4点からも明らかである。

 第一は今治市提案の取り扱いの異常さである。今治市が「国際水準の獣医学教育特区」提案をしたのは2015年6月4日。翌5日には市に対する特区WGのヒアリングがあり、8日には文科省と農水省へのヒアリングがあった。さらに半年後の12月10日には市への2回目のヒアリングが実施された。この1回目は「国際水準の獣医学教育特区」というだけの提案だったのに、2回目は国家戦略特区の趣旨に適合するように〈「しまなみ海道」と「今治新都市」を中核とした「国際観光・スポーツ拠点」の形成〉との提案に発展的に変更され、その中に獣医学部新設も位置づけられた。

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