AERA dot.

北原みのり「蓮舫さんが語らなかったこと」

このエントリーをはてなブックマークに追加
(更新 )

女性が組織のトップに立つというケースは増えた。が、社会自体が変わろうとしなければ結局は何も変わらない? (※写真はイメージ)

女性が組織のトップに立つというケースは増えた。が、社会自体が変わろうとしなければ結局は何も変わらない? (※写真はイメージ)

 作家・北原みのり氏の週刊朝日連載「ニッポンスッポンポンNEO」。二重国籍問題が取り上げられた蓮舫氏に焦点を当てる。

*  *  *
 民進党の幹事長に野田さんの名前が出た朝、くらっときた。蓮舫さんが代表になったら、野田さんがついてくるよ! とは政治に詳しい友人たちが口を揃えていたことだけど、いざ現実として目の当たりにすると、受け止めきれない。あんな大事故起こしたのに原発再稼働をうたった野田さん、わけわかんないタイミングで解散した野田さん、瞳が無駄につぶらで怖い野田さん……ああ! 4年かけてようやく顔を忘れかけてきたというのに。悪夢が一気に蘇ってきた感じだ。

 それにしても、民進党の代表選挙にはもやもやさせられた。蓮舫さんの国籍問題ばかりが取り上げられ、誰がどんな民進党を目指すのか、伝わらなかった。しかも結局、国籍の問題について、何か希望が見える良い方向に向かったようにも思えない。

 大きな話題になった『無戸籍の日本人』(井戸まさえ著)を読むと、たった一枚の紙が、人生をこれほど重く縛るものなのかと言葉を失う。制度の矛盾と差別が集中する落とし穴が、この社会にはある。そこに立たされた人にしか見えない世界がある。

 今回、蓮舫さんに対する批判には、そのような人々に対する眼差しや想像力が欠けているものが多かった。そのことで自分のことのように痛んだ人も、少なくなかったはずだ。

 ただ、蓮舫さんには、そういう人たちの姿がどれだけ目に入っているのだろうと、考えさせられた。法律をつくり、変えられる立場にある国会議員として、制度の矛盾と差別の狭間に落ちている人に向け、蓮舫さんはどんな仕事をしてきたのか。蓮舫さんに向けられた差別発言を自分に向けられたかのように痛み苦しんだ人に対し、これからの希望や未来への道筋を、何か一言でも語ったか。


トップにもどる 週刊朝日記事一覧



このエントリーをはてなブックマークに追加