甘利氏の後任の石原氏(左)と談笑する安倍首相 (c)朝日新聞社
甘利氏の後任の石原氏(左)と談笑する安倍首相 (c)朝日新聞社

 7月の参院選挙は、衆院解散でダブルとなるのか、それとも──。永田町の住人たちが浮足立っている。

 2月26日、菅義偉官房長官は記者会見で、来年4月の消費税率10%への再引き上げについて「税率を上げて税収が上がらないのなら、消費税の引き上げはあり得ない」と述べた。霞が関では、「2度目の消費増税延期解散で、ダブル選挙か」との臆測が広がる。だが、自民党国対幹部は、安倍首相の本音をこう打ち明けた。

「ダブル選挙はない。公明が嫌がっている。軽減税率であそこまで公明に譲歩したのは、参院選で勝つため。ダブルになると投票所で、衆参の両方で選挙区と比例の候補者の名前を自民、公明と有権者が書き分けなければならず、票の配分が難しく、リスクがある」

 現実的なのは、11月に臨時国会を開き、「憲法改正」と「消費増税の再延期」をぶち上げ、解散。12月に総選挙を打つことだ。

「そして橋下徹前大阪市長が改憲を旗印におおさか維新を率いて、出馬。自、公と合わせて3分の2の議席を目指す。すると、東京五輪がある2020年の12月まで衆院選をしなくていい。安倍さんが圧勝した過去2回の衆院選はいずれも12月。ゲンを担ぎたいとの思いもあるようだ」(同)

 自、公、おおさか維新の連携は水面下で着々と進んでいるという。

「1月24日の宜野湾市長選挙では予想に反し、翁長雄志沖縄県知事が推した候補が自民推薦候補に大差で敗れた。その要因は公明とおおさか維新の票が自民推薦候補に大量に流れたから。菅さんは総選挙を見据え、公明だけでなく、おおさか維新とも裏で連携している」(自民党議員)

 一方の野党は、にわかに吹き始めた解散風への対応に追われている。

 共産党は2月22日、参院選の勝敗の帰趨を決める1人区で候補者を取り下げる方針を決めた。26日には、民主の岡田克也代表と維新の松野頼久代表が会談し、3月中に両党が合流することで正式合意した。それでも、いまだ展望は見えない。維新幹部が嘆く。

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