小沢一郎氏(右)。左は参院質問ランキングで3位の山本太郎氏 (c)朝日新聞社
小沢一郎氏(右)。左は参院質問ランキングで3位の山本太郎氏 (c)朝日新聞社

 答弁している議員の後ろで他の議員がうたた寝している――。もはや国会の日常風景だ。彼らはどれほどサボっているのか、本誌は「国会議員三ツ星データブック」を発行するNPO法人「万年野党」の協力で衆参全議員の国会(2014年12月~15年9月)での質問回数、議員立法発議数、質問主意書提出件数を調査。すると「トリプルゼロ」議員が65人もいた。さらにそこには大物議員の名が連なっていたのだ。

「首相経験者ら大物は質問しないという慣習があります」(ジャーナリストの磯山友幸氏)

 確かに自民党税調のドンだった野田毅氏、総務会長の二階俊博氏、民主党の首相経験者、野田佳彦氏もトリプルゼロだった。回答した野田佳彦氏は質問に立たなかった理由を「所属している懲罰委員会では、昨年質疑は一度もなかったため」としたが、同委員会に属するのは大物ばかりで、ほとんど開かれていない。

 対照的なのは、同じ民主党の首相経験者の菅直人氏だ。原子力問題調査特別委員会で2度、予算委員会で1度、原発問題について質問した。その理由を菅氏に聞いた。

「首相経験者は質問しないなんて、奇妙な話だよね。国会議員を継続している以上、さまざまな課題に取り組むわけだから、国会質問する機会を活用するのは当然のことです。私の場合、福島第一原発事故を総理として経験した者として、脱原発を実現することが使命だと考えています」

 9月3日の原子力問題調査特別委員会では、東京電力の広瀬直己社長に事故直後のテレビ会議の様子をすべて公開するよう迫った。

「全部公開しているとウソばかり言うが、自分たちの都合のいい部分だけです。私は市民運動から政治家になったので、原点に戻ってこの問題に取り組みたい」

 トリプルゼロ議員の大物は元代表クラスでは小沢一郎氏、亀井静香氏らもいた。磯山氏は言う。

「質問しないのなら早く引退するべきだ。国会議員ならば、国会での議論を重視すべきです」

 ぜひ、存在感のほどを。

(本誌取材班=長倉克枝、西岡千史、亀井洋志)

週刊朝日 2016年1月29日号