名誉より日韓関係を選んだ朴大統領 (c)朝日新聞社
名誉より日韓関係を選んだ朴大統領 (c)朝日新聞社

「執行猶予付きの有罪」という大方の予想に反したどんでん返しとなった。

 韓国のソウル中央地裁は12月17日、朴槿恵大統領に対する名誉毀損で訴えられていた産経新聞の加藤達也前ソウル支局長に無罪を言い渡し、ソウル地検の懲役1年6カ月という求刑を退けた。韓国ではこのニュースをテレビ、新聞各紙で伝えたが、中にはため息交じりのコラムもあった。

「この事件は単なる名誉毀損ではなかった。言論の自由に関する問題や外交問題に飛び火する余地が十分にあった。(中略)得たものはなく、失ったものばかりが多い『愚かな起訴』だった」(朝鮮日報「萬物相」12月18日付)

 発端は2014年8月、産経新聞ウェブサイトに掲載された加藤前支局長のコラム「朴槿恵大統領が旅客船沈没当日、行方不明に…誰と会っていた?」だ。この内容が朴大統領の名誉を毀損するとして、保守派の市民団体が訴え、同年10月に在宅起訴されたが、ソウル地裁は、「コラムの内容は虚偽」としながらも「言論の自由の保護領域に含まれる」と結論づけた。

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