もっと別の選択肢もあったのでは?(資料提供スポーツ振興センター)
もっと別の選択肢もあったのでは?(資料提供スポーツ振興センター)

 デザインや予算などさまざま問題となっている「新国立競技場」。作家・コラムニストの亀和田武氏は、本誌連載『マガジンの虎』で、東京を破壊するなと憤慨する。

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 よくぞ書いてくれた。「週刊新潮」(新潮社)6月18日号は、東京五輪の競技場建て替え問題をめぐるゴタゴタを報じている。

 題して<奇矯「女性建築家」の奇天烈「新国立競技場」にGOサインを出した「安藤忠雄」の罪>。新潮的レトリックを駆使した見出しだが、その意図は明快だ。

 安藤忠雄の罪。この煽り文句を目にした人は、ギョッとなったはずだ。世間的には、安藤忠雄といえば、日本を代表する建築家だ。それが、新国立の奇天烈デザインをゴリ推しした張本人とは。

 イラク人建築家の案は、応募当初「昆虫の触角のように伸びたスロープがJR線の上をまた」ぎ、高さも制限オーバー。本来ならこの時点で失格である。なのに審査委員長の安藤の<コンセプトが強ければ後で修正できる>の一言で、クリアした。

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