元自民党幹事長小沢一郎おざわ・いちろう/1942年生まれ。慶応大学卒。69年に衆院議員初当選。自治大臣、自民党幹事長、民主党代表などの要職を歴任し、現在は「生活の党と山本太郎となかまたち」共同代表(撮影/写真部・大嶋千尋)
元自民党幹事長
小沢一郎

おざわ・いちろう/1942年生まれ。慶応大学卒。69年に衆院議員初当選。自治大臣、自民党幹事長、民主党代表などの要職を歴任し、現在は「生活の党と山本太郎となかまたち」共同代表(撮影/写真部・大嶋千尋)

 安倍首相はどこに向かっているのか――。安保法制を急ぐ安倍政権に、自民党幹事長を務め、現在は「生活の党と山本太郎となかまたち」共同代表である小沢一郎氏が、第2次世界大戦を繰り返す危険すらあると、危惧する。

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 日本の安全保障の根幹は憲法9条です。9条の理念と原則がはっきりとしないまま、安全保障の論議をしようとすることが、そもそもの間違いです。

 集団的自衛権の行使容認を閣議決定し、どこにでも海外派兵ができるようにするのであれば、9条違反になる。僕はずっとそう言い続けたが、今国会の論議、これまでのメディアの論調は、憲法違反という根本が全く議論されず、ホルムズ海峡や存立事態がどうのこうのと、イケイケどんどんで進んできた。憲法学者の先生方が「違憲だ」と声を上げてくれたことで、国民、メディアもようやくことの重大さに気づくことができました。

 憲法9条の理念、原則、解釈をきちんと打ち出さず、なし崩しのまま、安保法制論議を進めると、結局なんでもできてしまい、非常に危険です。憲法があってもなくてもよくなってしまう。さらに危険なのは、「個別的自衛権の拡大解釈」です。これは政治家もメディアも学者たちも見落としていますが、かつての大日本帝国の海外派兵は、すべて個別的自衛権の発動でした。「邦人の生命・財産が危うくなり、日本国の権益が侵される」という理由で、このまま進んでいくと、日本は、かつて他国から攻撃、侵略されなくても、海外に出兵し、第2次世界大戦で大敗北を喫した歴史を繰り返す危険すらあります。

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