藻谷氏の調べでは、李克強指数のマイナスが続いている。直近6カ月で電力消費量が年率マイナス7.4%、融資規模が同55.3%、鉄道輸送量が同27.7%だ。
「今後も李克強指数と株価との乖離は広がっていくでしょう。バブルの過熱感が強まるということです。私が李克強指数とともに重視している輸入額は、昨年末から10%も下がっている異常事態です」(藻谷氏)
中国政府は消費が落ち込まないよう、企業の賃金に干渉している。将来的に企業業績の悪化が表面化すれば、賃金を下げざるを得ないだろう。
「そのときには株価は下がっていくでしょうね」(同)
株価の暴落につながれば、中国の庶民生活も直撃する。
「進出する日本企業の生産・販売が滞るなど、日本経済にも悪影響が及ぶ可能性があります」(西濵氏)
もちろん上海株に投資している人は、大きな痛手を負う。
「中国の株価下落は、世界経済の最大のリスク。景気が減速気味の米国や日本には避けられない打撃となります。それはイコール世界同時不況です」(藻谷氏)
上海株の上昇を期待して資金をつぎ込むのは、もはや投機そのもの。くれぐれもご用心を。
(本誌・永野原梨香、牧野めぐみ、一原知之、上田耕司/横田 一)
※週刊朝日 2015年7月3日号