「先月の大阪都構想の住民投票で安倍首相は橋下氏にエールを送った。馬場氏らはその恩返しをしたかったのでしょう。でも有権者から見ると、維新は与党なのか野党なのかサッパリわからない。もともと『同一賃金法案』は民主党などの野党と共同で提案したもの。抜け駆けするように自民と協議したことで、民主とのミゾもできてしまった」

 先月、橋下氏に代わり松野氏が代表に就任した直後から、内紛は起こっていた。24日に松野氏が「年内に100人規模の野党再編」をブチあげると、大阪チームは猛反発。顧問の松井一郎大阪府知事も「何でもかんでもの数合わせでは、国民から信頼されない」と牽制した。松野氏が人事で大阪チームを冷遇しようとしたことも、尾をひいている。

 今後、衆院では安全保障関連法案の採決も行われる。維新の大阪チームは再び、安倍自民党に協力することを画策しているという。政治評論家の浅川博忠氏は「もはや分裂は避けられない」と指摘する。

「大阪チームは橋下氏にいずれ代表復帰してもらいたい。そのためにも政権と良好な関係を維持するつもりでしょう。『野党共闘』派とは決定的な亀裂ができる」

 かつて民主党は消費増税の賛否をめぐり分裂した。維新も同じ道を辿るのか。

(本誌取材班=一原知之、上田耕司、小泉耕平、長倉克枝、永野原梨香、牧野めぐみ、山岡三恵/今西憲之 菅野朋子)

週刊朝日 週刊朝日 2015年6月26日号