(c)朝日新聞社 @@写禁
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 12月4日の全国紙各紙1面には「自民300議席超す勢い」(朝日、毎日)、「自民、公示前議席うかがう」(読売)と自民圧勝の見出しが躍った。

 あまりの快進撃ぶりに、とうとう連立を組む公明党の山口那津男代表までが「自民党だけ議席が増えて良い政治ができるのか」とブレーキをかける有り様だ。

 もともと今回の安倍晋三首相の解散には、報道機関の世論調査でも回答者の6~7割が「適切でない」「大義がない」と批判的だった。自民のベテラン候補からは「296議席をとった2005年の郵政選挙は完全な追い風だった。でも今は無風。手応えがない。キツネにつままれた感じ」との声も漏れる。なぜ圧勝の勢いなのか。

 自民党関係者はこう分析する。

「第2次安倍政権の発足から2年経たずに解散したため、有権者の多くが『もう少しやらせてみよう』『お手並み拝見』と思っているのではないか。民主党のトップが不人気の海江田さんで、維新の橋下さんが出馬しなかったことも大きい。野党への期待が警戒したほど高まらなかった」

 ある政治ジャーナリストは「解散前の11月18日に俳優の高倉健さんが、公示前日の12月1日には菅原文太さんが亡くなったと大々的に報じられた。テレビでも選挙報道が減り、選挙ムードも高まらない。無党派層のうち、政治に無関心な層が動いていない。それが自民の議席維持の要因ではないか」と指摘する。

週刊朝日  2014年12月19日号より抜粋