韓国「セウォル号」オーナー怪死 それでも残る“逃亡説” 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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韓国「セウォル号」オーナー怪死 それでも残る“逃亡説”

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週刊朝日#朴槿恵
沈みゆくセウォル号 (c)朝日新聞社 

沈みゆくセウォル号 (c)朝日新聞社 

 死者294人、行方不明10人の大惨事となった韓国旅客船セウォル号沈没事故から約3カ月。事態が急展開した。

 7月22日、韓国捜査当局は、全羅南道順天市の梅畑で見つかった変死体が、船の運航会社の実質的なオーナー兪炳彦氏(ユンビョンオン・73)と発表。韓国中に大きな衝撃が走った。

 しかし、この発表には、いくつかの“謎”が残ったままだ。 

 まず、梅畑の所有者が変死体を発見し、警察に通報したのが6月12日。場所は兪氏が潜伏していた別荘から2キロほど。兪氏と関連付けられる所持品も多く発見されていた。それにもかかわらず、当初、警察は遺体を「ホームレス」として処理。そして、40日後に突然、兪氏のDNAと一致したと発表したのだ。

「DNAの鑑定になぜ40日もかかるのか」「高級ブランド品を着ていたのに本当にホームレスなのか」「金歯10本を見逃した」「死体の腐乱は激しいのに下の草は変色もしていない」等々、市民からは疑問の声が多くあがった。25日、京畿道龍仁市内で長男・大均(テギュン)氏と護衛の女性が逮捕されたが、側近2人は行方不明のまま。一部メディアでは、遺体は「替え玉説」「他殺説」とも報じられているほどだ。

 矛盾点はまだある。警察の報告書にある「死体発見」と「死亡推定」は、なぜか6月12日午前9時6分と同じ時刻。5月末の家宅捜索の際、別荘の隠し部屋に潜んでいた兪氏を発見できなかったこともあわせて、初動捜査の不手際が指摘されている。

 指名手配中の兪氏には5億ウォン(約5千万円)の懸賞金をかけていたが、死因の特定もないまま、捜査は打ち切られた。

 そんな中、7月24日、新証言が飛び出した。

 新政治民主連合の朴智元(パクチウォン)議員は、国会で開かれた法制司法委員会で、現場の住人5人との対話録音記録を公開した上でこう語った。

「(遺体発見日は)6月ではなく4月。国立科学捜査研究所のDNA結果を疑うわけではないが、梅畑に最も近い村の住民5人は、遺体発見日は6月12日ではないと言っている」

 そして、真相調査委員会に捜査権を与えなければならないと世論に訴えた。

 犠牲者追悼のボランティアを行ったチェ・ジェソン氏は憤る。

「この国の政府や警察の言うことは何一つ信じられません。悲しい事故が起きても、政治家や行政は保身が大事で、犠牲者ばかり出している」

 朴槿恵(パククネ)大統領の支持率は政権発足以来、最低の40%となった。政権へのダメージは計り知れない。

(伊東順子)

週刊朝日 2014年8月8日号


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