離れて暮らす親を子どもが支える──。厚生労働省のデータでは、介護が必要な人の1割が「別居の家族」に世話されている。みずほ情報総研の調査によると、別居の親族を介護する人の12.7%が、「片道2.5時間以上かけて通う」と答えている。

“遠距離介護”の名付け親で、NPO法人「パオッコ離れて暮らす親のケアを考える会」理事長の太田差惠子さんが言う。

「離れて暮らす場合、食事や入浴、トイレなどの日常的な身体介助は無理でも、別の形でサポートできます」

 太田さんによると、別居する子どもが、親が暮らせるように計画をしっかり立てて支えるのが遠距離介護の“基本形”だ。通常は、訪問介護やデイサービスといった介護保険のサービスを利用し、足りないときには民間サービスを手配したり家族が交代で帰省したりするパターンが多い。電話やメールで様子を把握するほか、話し相手になるなど精神的支えも重要だ。

 
「親を呼び寄せたり、自分が実家に戻って同居したりすることを『介護』ととらえる人が多いが、親がそれを望んでいるとは限らない。親子でも価値観や生活の仕方が違っていて、同居が互いのストレスになることも。親子、どちらかの生活が一変してしまう道を安易に選ぶべきではありません」

 確かに、同居だけが親の幸せな老後をかなえる方法ではなく、別居のメリットもある。しかし「通いの介護」が子どもを肉体的・精神的に追い込むことがあるのも、また事実だ。

では、遠距離介護を成功させるためにはどうしたらいいのか、編集部ではその7 カ条をまとめた。

【遠距離介護を成功させる7カ条】
(1)安易に転居や離職をせず、まずは今の生活を続ける前提で
(2)自分一人で抱え込まない
(3)思い込みを捨て、親の意思や希望を聞く
(4)遠距離のメリットもある。自分の時間を大切に
(5)「罪悪感」に負けない
(6)親の普段の生活を知っておく
(7)介護は情報戦!

週刊朝日  2014年7月18日号より抜粋