今なお「忍」の心境の海江田氏(左端)と「次はオレ」の細野氏(右端) (c)朝日新聞社 @@写禁
今なお「忍」の心境の海江田氏(左端)と「次はオレ」の細野氏(右端) (c)朝日新聞社 @@写禁

 安倍政権の勢いに押され、長期低迷中の民主党。目下の注目は、満身創痍(そうい)の海江田万里代表(65)が辞任する「Xデー」だ。

 任期は来年9月まで。海江田氏は続投に意欲をみせるが、最近も玄葉光一郎前外相が同僚議員との会合で「代表選を前倒しするべきだ」と話すなど、早期辞任を求める声は収まらない。

「集団的自衛権の解釈改憲をめぐり、今秋にも安倍首相が衆院を解散する可能性が出てきたので、民主党も焦っているのでしょう」(自民党ベテラン議員)

 そんな中、ポスト海江田に最も意欲的と言われるのが細野豪志前幹事長(42)だ。先月、衆参の国会議員11人を従え、派閥「自誓会」を発足。今月6日の派閥合宿では記者団に「代表選の準備をしておかなければならない」と語り、早くも次期代表に名乗りを上げた。

 細野派の議員が語る。

「合宿で細野さんはビールと焼酎を飲みながら、『とにかく弱者を大切にする政治をしたい』『自民党が好調なのは経済が安定しているから。われわれも効果的な政策を打ち出さなければいけない』と熱く語っていました。党を再建したいという思いは、人一倍強い」

 細野派の幹部は、「数は力」とばかり、着々と勢力を拡大中だ。若手地方議員をまとめる党青年委員長の津村啓介衆院議員(42)は、上京する地方議員約40人に次々とメールを送り、「自誓会のメンバーやトップの細野さんと意見交換しよう」と積極的に勧誘する。

 さらに、5月11日には細野氏と教育評論家・尾木直樹氏のトークイベントを開催。約400人の観客を集め、細野人気を誇示した。

 こうした動きに海江田氏は「党の役職を派閥活動に使うな」とカンカンだというが、今後、細野派はどのように仕掛けていくのか。前出の同派議員は語る。

「6月11日の党首討論と7月の滋賀県知事選がポイントになる。滋賀はもともと民主王国で、ウチの衆院議員だった三日月大造さんが出馬する。党首討論も秋からは毎月開催される。海江田さんが結果を出せなければ、かばう議員もほとんどいなくなるでしょう。他のグループと一斉に『海江田さんは昨夏の参院選後、1年後に目に見える成果が出なければ辞めると言った。その約束を守るべきだ』と強く迫っていけば、さすがに決断するはずです」

 ただし、この代表争いに有権者の関心が高まる気配はない。

週刊朝日 2014年6月6日号