迷宮入りと思われた事件が、急展開を見せている。
2005年12月1日、栃木県日光市(旧今市市)で小学1年生の吉田有希ちゃん(当時7)が下校途中に連れ去られ、翌日、茨城県常陸大宮市の山林で変わり果てた状態で見つかった。遺体には胸に十数カ所の刺し傷が残されており、傷の一部は心臓に達するほどだった。被害者が幼い女児で、犯行も残忍だったため、大きな注目を集めた。
あれから約8年を経て、事件は急展開しつつある。別の事件で逮捕、起訴されている栃木県鹿沼市内の30代無職の男が事件への関与をほのめかす供述をしているというのだ。
「男の容疑は商標法違反。いわゆる偽ブランド品を販売目的で所持していたとして、母親と一緒に逮捕されました」(全国紙記者)
一見、何の関連性もない話だが、取材を進めていくと、かすかな接点が見えてくる。
栃木県警が事件発生後におこなったプロファイリングでは、犯人像を「連れ去り現場と遺棄現場の二つに土地勘がある人物で車の運転ができる者。平日午後に自由に行動できる者」などと説明していた。
捜査関係者などによると、男は以前、有希ちゃんが連れ去られた現場付近に住んでいたことがあり、仕事などで茨城県内を訪れることもあったという。いったいどんな人物なのか。
「彼が鹿沼市内に移り住んできたのは6~7年前だったと記憶しています。身長は170センチぐらいでひょろりとした細身体形。黒髪でいつも黒のジャージーのようなラフな服を着ていましたね。あいさつはするけど、どちらかと言うと、気が弱く、おとなしいイメージで、いわゆる普通の若者です」(男をよく知る人物)
近所の住民も、突然の“自供”には首をかしげる。
「普段は昼間でも家にいることが多かったようで、インターネット関係の仕事をしていると聞きました。パソコンが好きみたいで、網戸越しにパソコンをしている姿を何度も見かけたことがあります。深夜にゴミを捨てていたのは覚えているが、日中、どこかに外出している姿はほとんど見かけたことがないですね。あんな事件を起こすようには到底思えない」
男の供述にはあいまいな部分も多く、供述を裏付ける物証は出ていない。果たして、真相は解明されるのか。
※週刊朝日 2014年5月2日号