こう言っちゃ失礼だが、予想に反して安倍内閣の支持率が伸びている。報道各社の世論調査では軒並み上がり、朝日新聞社の調査(2月16、17日)も前月から8ポイント増の62%となった。その大きな要因は、やはり、安倍晋三首相(58)の経済政策=アベノミクスへの期待感だろう。

 株価は、野田佳彦前首相が党首討論で「衆院解散」の意向を表明した昨年11月14日を境に上昇。底値8661円05銭だった日経平均は、今年2月20日にリーマン・ショック後最高値の1万1510円52銭をつけ、実に3割以上も上がった。

「実は、ある意味いちばん恩恵を受けているのは家業のある政治家です。麻生グループの麻生太郎財務相や、佐田建設の佐田玄一郎氏ですよ」(金融関係者)

 確かに、麻生グループのコンクリート施工大手「麻生フオームクリート」は、解散前に90円だったのが12月に入って徐々に上昇。自民党復権となった投開票日(12月16日)直後からは連日のストップ高となり、同月21日には一時487円にまで急騰した。佐田建設も51円だったのがグングン伸び、年明けの1月10日には一時103円にまで上がった。麻生株は5倍以上、佐田株も2倍の伸びである。

「日経平均が30%の伸びなら、個別銘柄はその2倍の60%前後がメドです。復興や国土強靭化計画などへの期待からセメント株やゼネコンの動きがいいですが、この2社の伸び率は、むしろ心理的な要因もあるのでしょう」(カブドットコム証券のチーフストラテジスト・河合達憲氏)

 実はこの「麻生銘柄」、投資家からは知られた存在だ。

「麻生グループで唯一、上場している会社で、01年4月の上場以来、麻生氏が自民党総裁選に有力候補として出馬するたびに株価が急騰。08年に麻生政権が発足すると、一時350円まで上がった株価は麻生内閣の支持率下落とともに下がり、09年2月に100円を割りこんだ。リーマン・ショックもありましたが、麻生氏の浮沈を表すような株なんです」(先の金融関係者)

週刊朝日 2013年3月8日号