2月12日昼、安倍晋三首相(58)は経団連など経済3団体首脳との「デフレ脱却に向けた意見交換会」を開催。「業績が改善している企業の報酬引き上げを、ぜひお願いしたい」と直接要請した。

 安倍政権にとっての最重要課題は、今夏の参院選での過半数獲得だ。これまで民主党政権を応援してきた連合傘下の産別や単組に、自民党こそ頼りになることを見せつけ、少しでも接近を図りたい。もっと露骨に言えば、比例区から立候補する連合の組織内候補は仕方ないにせよ、選挙区の民主党候補への支援を弱めてもらいたいとの思惑がある。

 連合は昨年、次の参院選で民主党候補を支援することを機関決定した。が、連合内部からは「民主党がここまで弱ると、比例区で十数人も勝てるわけがない。我々の目標は組織内候補9人全員を当選させること。選挙区の候補者の面倒までは見ていられない」という声も漏れてくる。

 実際、今夏に改選を迎える西日本の民主党議員は、「逆風に備え、前回より県内の事務所を増やしたが、連合関係者の姿はほとんど見ない」とぼやく。

 さらに安倍政権は、民間労組と、自治労や日教組といった官公労との分断まで狙っているようだ。周辺はこう解説する。

「連合の中には『良い労組』と『悪い労組』がある。前者の代表が電力系など自民党と親和性の高い民間労組で、後者が護憲を掲げる旧社会党系の官公労だ。安倍さんの究極の目標は、憲法改正を視野に、自公と日本維新の会、そして民主党の一部を巻き込んで政界再編することだ。その際、思想が異なる官公労系を切り離した連合も取り込みたい。当然、アメとムチを使い分けることになる」

週刊朝日 2013年3月1日号