10月25日、東京都知事だった石原慎太郎氏が、近く新党を結成し、次期衆院選に出馬すると宣言した。ジャーナリストの田原総一朗氏は「石原新党」が「日本維新の会」と連携するのではないかと推測する。

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 石原氏には200万票以上を集める集票力がある。新党には、当然ながら現職議員も含めて二ケタの人間は参加するだろう。問題は、石原氏が橋下徹大阪市長率いる「日本維新の会」と連携するか否かだ。

 はっきり言って、維新の会に対する国民の関心は落ちている。「この国を変える」という橋下市長の本気度は変わらないが、「変える」ための行動が目に見えないと、存在感は薄らぐものだ。石原氏も記者会見で「橋下さんとは政策のすり合わせもずいぶんしてきた」と語っており、私は双方に連携の意思ありと捉えている。

 だが、メディアには両者の連携を疑う声が多い。橋下市長側が乗らないと見ているのだ。

 一つには、維新の会が「みんなの党」と組む姿勢を強めていること。さらに、石原氏とは政策に違いがあることだ。原発問題、TPP、それに橋下市長が「憲法改正」を主張しているのに対し、石原氏は「現行憲法は破棄する」と言明している。

 しかし、「憲法破棄」というのは石原氏の趣味的な表現であり、「改正」には違いない。原発に賛成か反対かも、そう大きな違いではない。

 それに、橋下市長は10月21日に、極秘に上京して石原氏に会ったとの情報もある。第三極作りではなく、政界再編を敢行するつもりだ。80歳の石原氏が、第三極作りなどに、いまさら意欲を示すはずがないからだ。

週刊朝日 2012年11月9日号

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田原総一朗

田原総一朗

田原総一朗(たはら・そういちろう)/1934年、滋賀県生まれ。60年、早稲田大学卒業後、岩波映画製作所に入社。64年、東京12チャンネル(現テレビ東京)に開局とともに入社。77年にフリーに。テレビ朝日系『朝まで生テレビ!』『サンデープロジェクト』でテレビジャーナリズムの新しい地平を拓く。98年、戦後の放送ジャーナリスト1人を選ぶ城戸又一賞を受賞。早稲田大学特命教授を歴任する(2017年3月まで)。 現在、「大隈塾」塾頭を務める。『朝まで生テレビ!』(テレビ朝日系)、『激論!クロスファイア』(BS朝日)の司会をはじめ、テレビ・ラジオの出演多数

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