野田佳彦首相(55)と小沢一郎・元民主党代表(70)の会談は、最後まで平行線だった。「率直な天下国家の議論ができた」(野田首相)、「ざっくばらんな意見交換ができた」(小沢氏)と言い繕っても、同床異夢であることは、明々白々だ。「通過儀礼」は終わった。さて、その次に待つものは――。

 5月28日夜、小沢氏は東京・赤坂の中華料理店で円卓を囲んだ。宴席をセットしたのは 「中間派6人衆」と呼ばれる大畠章宏元経産相(64)ら、「消費増税の重要性はわかるが、早期の衆院解散は困る」面々だ。高木義明選対委員長(66)が、

「小沢先生にご指導、ご協力をいただきたい」

 と訴えると、小沢氏は、

「選挙は勝たなければいけない。だが消費税を背負って臨むのは厳しい。来年夏までに選挙は必ずあるのだから、何とかしなくては」

 と答えたという。

 野田首相に消費増税を思いとどまらせるには、反増税の世論が高まり、有権者から圧力を受けた中間派議員たちが反対に転じることが不可欠だ。5月31日、小沢氏のグループ「新しい政策研究会」(新政研)の東祥三事務総長(61)は会合でこう檄を飛ばした。

「有権者に徹底的に私たちの主張を展開していく時が来た。それぞれの地元で街頭活動をして、理念と政策を訴えていこう」

 小沢包囲網を脱するには、世論の後押しを受けるしかないというわけだ。

 6月21日の通常国会会期末に向け、政局の歯車が大きく回り始めた。

※週刊朝日 2012年6月15日号