支給されたギフトカードと、もずやんのメッセージカード
支給されたギフトカードと、もずやんのメッセージカード

 ギフトカードを受け取った大阪府のある介護職員は、「それで釣られることはない」としながらも、こう感想を語った。

「介護職は離職率も依然として高い。(団塊の世代が後期高齢者となる)2025年問題を目の前にして、現場の人間からすると『忘れていない』といううれしいメッセージを感じました。吉村知事は実際に身を切る政策をされているので、信頼してお任せしたいと考えています」

 なぜこのような時期に配ったのか。選挙への影響は考えなかったのだろうか。

 大阪府の支援事業の担当者によると、今回のギフトカードは3月末までに約38万9千件を送付したという。選挙直前の配布についてはこう答えた。

「国の補正予算(予備費)が昨年9月に組まれ、府議会で予算編成を承認、議決したのが12月2日です。臨時交付金は、年度内に執行することとなっています。迅速にギフトカードを配るため、今年2月上旬から3月下旬にかけて計画的に複数回に分けて配りました」

 選挙前に配ることの影響については、

「議会での議論の話なのでわからない」

 と答えた。

 ただ、メッセージカードの送り主を吉村知事名にせず、「大阪府広報担当副知事」の「もずやん」にしている点については、

「選挙前で知事個人の名前は出せないので配慮した」

 と選挙中であることを意識した説明をしている。

 議会ではどういった議論があったのか。府議会の「会議録検索システム」で、「ギフトカード」のキーワードで調べたが、選挙前に配布することについての議論があったかどうかを確認することはできなかった。自民党議員から「委員会に付託して詳細を議論すべきだ」という提案はあったが、否決されている。

 一方、臨時交付金の“消化期限”について内閣府地方創生推進室に見解を尋ねると、

「補正予算は年度を繰り越しても問題はありません。実施のタイミングや期間は自治体の判断によります」

 との回答だった。

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違法性はないのか?