矢萩:そうですね。本当に「読んでいる」ならよいのですが、苦手な場合「見ている」だけのことが多いんですよね。本来は、自分の好きなことを探究していくためにも、自由に進路や仕事を選んでうまくやっていくためにも、国語と社会は役に立つよって話なんですが、中学受験を目指すなら、具体的に行きたい学校があって4科受験なら、そのために国社も頑張ろうってことでも良いと思います。

安浪:国語は問題を間違えると機嫌が悪くなる、って書いてあるので、息子さんは比較的セルフイメージが高くて、それが傷つくのが嫌となんでしょうね。

矢萩:お母さんが見ている前だとより嫌なのかもしれない。

■塾は悪い側面ばかりじゃない

安浪:もし最難関校や難関校を目指しているなら、やはり今後は志望校別特訓講座のある大手進学塾に行くことをお勧めします。特に最難関校の入試問題は、ご家庭で傾向を分析し、対策できるレベルではありません。しかも、全科目にそれが必要ですからね。

矢萩:今まで大手塾に入らずに、家でやってきたということは、決められたペースに合わせたり、詰め込み型の勉強は向いていない、もしくはやらせたくない、と思っているご家庭なんでしょうね。

安浪:わかります。塾は、子どものペースや興味関心とは関係なく授業が進んでいきますからね。でも、塾は悪い側面ばかりじゃなくて、自分よりできる子がいて刺激になったり、自分ができることで自信がついたりもします。他者から得られる刺激って大きいんですよね。

矢萩:もし、算数や理科の物理分野が好き、という極端な嗜好性があるなら、理科的な文章を集めて国語の勉強をしたりして、自分が興味が持てる分野から攻めていく、という方法もあります。勉強をカスタマイズすることによって、参入障壁を下げる、というやり方です。ご家庭でやるのは難しそうだと思われるかもしれませんが、たとえば科学分野の文章はたいてい説明文ですから、知りたいことを読解しようとすることで文法を体感的に捉えることができるようになってきます。また、SF(サイエンスフィクション)なども興味が持てるものがあれば、物語文の読解練習になります。どんな興味分野であれ、国語的に情報を得て考える必要がありますから、自然にそういう文章に触れていってある程度読みこなせるようになってきたら、実はこれ、国語と同じじゃん!と気づかせてあげるのが良いと思います。社会科もそうですが、教科への先入観が邪魔してしまっていることも多いですからね。

NEXT社会派はある程度の知識が必要
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