4月14日に上海市浦東新区の張江鎮にあるマンションで行政や警察の対応に住民たちが抗議している様子(画像は上海在住の中国人Aさんより提供の動画をスクリーンショット)
4月14日に上海市浦東新区の張江鎮にあるマンションで行政や警察の対応に住民たちが抗議している様子(画像は上海在住の中国人Aさんより提供の動画をスクリーンショット)

 新型コロナウイルスのオミクロン株の感染が急拡大した中国・上海では、4月初旬から市全体を封鎖(ロックダウン)している。しかし、いまだ新規感染者数が2万人弱出るなど、状況が落ち着く気配はない。一部エリアではロックダウンが解除されつつあるが、完全な封鎖解除はしばらく先になる見込みで、上海に住む市民たちも我慢の限界に達している。そんな中、上海市のマンション住民との警察の衝突がSNSにアップされ、波紋を広げた。

【抗議したマンション住民が警察に連行される様子】

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 4月14日、上海郊外エリアにあるマンション住民と警察の衝突が勃発した。コトの発端は12日。当該マンションのフロアの一角を隔離施設とすることが決まり、政府からは午後9時までに退去するよう市民に連絡があった。もしマンションから離れない場合は、住居のドアにシールを貼って自宅隔離となり、陽性隔離者と混在する状況になると説明を受けたという。翌13日、マンションを運営する会社の責任者とエリアの衛生当局の責任者、住民たちとの間で話し合いが持たれた。そこで、住民たちは「陽性感染者と濃厚接触者をマンションの指定したエリアには入れないこと、検疫を理由に住民のいる建物に入らないこと」を要望し、責任者たちは「1~2日以内に回答する」と約束した。

 そして14日午後。当局が続々と隔離の準備を進める一方で、マンション住民には責任者からの回答は得られず、不満と不安が募っていった。マンションの外には住民たちが集まって抗議を始め、1800人ほどの住民が集まったという。そこでついに、住民たちも対抗措置を取る。エリアに進入できる道路に車や植物棚などを置き、バリケードを設置。警察が現場へやってくると、住民たちは抗議をしたが、一部が警察から暴力を振るわれたり、次々と捕まって連行されていく事態にまで発展した。

 その時の動画を見ると、住民の激しい抗議に対して警察が力づくで対応する様子や、集まった人の多さが伝わってくる。

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「本来は法律違反であり、やり方が横暴」