理数教育から一歩進んだSTEAM(スティーム)教育が注目を集めています。どんなことを学び、どうして今の時代に必要なのか。『AERA English特別号「英語に強くなる小学校選び2022」』では、教育とデジタルの関係に詳しい石戸奈々子さんに聞きました。

MENU ■ワクワク感が学びの原動力に ■新しい価値を生み出し広く評価されたい

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 STEAM教育の重要度が高まっている。STEAMとは、「Science(科学)」「Technology(技術)」「Engineering(工学)」「Art(芸術)」「Mathematics(数学)」の頭文字。これらに関する知識やノウハウの価値がさらに増すと考えられている。

 NPO法人CANVASの理事長としてSTEAM教育の普及に励む石戸奈々子さんが説明する。

「AI(人工知能)やロボット、モノとインターネットがつながるIoTの発達など、技術革新が進んだ社会で、私たちの生活は科学、技術、工学、芸術、数学の要素に囲まれています。それらの知識が基礎教養となるのは当然です」

 多様なデータを社会の発展に生かす技術革新を「第4次産業革命」と呼ぶ。文部科学省が2020年度に小学校のプログラミング教育を必修化したのも、第4次産業革命を意識してのものだ。

■ワクワク感が学びの原動力に

 プログラミングというと、パソコンの真っ暗な画面に暗号のようなものを打ち込む難解なイメージがあるかもしれない。だが、そこにも技術革新が及ぶ。未就学児でも直感的に使えるアプリケーションやソフトウェアが多く登場している。石戸さんは言う。

「お絵描きのような感覚ですよね。直感的に扱えるプログラミング言語を活用して、タッチパネルで絵やブロックを動かしたり、音楽を作ったりできます。自分の指示どおりに何かを動かしたり生み出したりする体験は楽しいもの。そのワクワク感が学びの原動力になっていると思います」

 実際、テニスゲームを作ろうとしている小学生が、ゲームの質を高めるために、高校で学ぶ三角関数を身につけた例もあるという。

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菅野浩二
菅野浩二

NEXT今の子どもたちに特有の「ある意識」とは
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