思い立ったのは、なんと小6の秋! 俳優や文筆家としても活躍するお笑い芸人のマキタスポーツさんは、ほとんど予備知識のないなか、手探りで娘の中学受験に挑戦した。発売中のAERAムック『偏差値だけに頼らない 中高一貫校選び2022』(朝日新聞出版)で、娘の中学受験で経験したことを語ってもらった。

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 最新J-POPから歌謡曲、ビジュアル系ロックまで、さまざまなアーティストの作風を模写する「作詞作曲ものまね」でブレークし、現在は個性派俳優としても活躍するマキタスポーツさん。長女が中学受験に挑戦したのは、8年前のことだ。

「娘の受験は、ぼくが言い出したことなんです。既に6年生の秋でしたから、もちろん娘と妻は大反対でした」

 自身は高校も大学も推薦で進学したため、受験という“通過儀礼”を経ていないことに、どこかコンプレックスを感じていた。

「だから娘には受験を経験してほしかったし、人生の新しいステージをつかんでほしいとも思っていました。ぼくの仕事もやっと軌道に乗ってきたし、一緒に生まれ変わろうよ!って感じですね」

■家庭教師は後輩芸人 親子で競った過去問

 なんとか2人を説得し受験勉強を始めたのは、10月半ば。塾には通わず、芸人仲間に家庭教師を依頼した。

「進学校出身の後輩がいたので、アルバイト料を払い、週に2、3回勉強を見てもらいました。途中一度だけスポットで頼んだのが、サンキュータツオ。彼からのアドバイスは、とても役に立ちましたね」

 早稲田大学文学部卒業、博士課程まで進み、中高の国語科教員免許も持つサンキュータツオさんは、一橋大学でも教鞭を執る「国語のスペシャリスト」。読解問題を効率よく解くための文章の読み方、要点の捉え方といったテクニックは、中学受験初心者のマキタ家には目からうろこだった。

「『マキタさんも奥さんも協力してください』って言われて、何かと思ったら娘と一緒に国語の過去問を解かされて。まるで“マキタ家共通一次試験”(笑)。文章を書く仕事もやっているし親父の沽券(こけん)にも関わるから、必死でしたよ」

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木下昌子
木下昌子

NEXTライブハウスの通用口で号泣
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