通常は塾で経験する「競い合い」を家族と疑似体験したことは、娘の学習姿勢にもよい変化をもたらした。

「それまであまりやる気を見せませんでしたが、一気に真剣味が増しましたね。それに、親子で分からないところを教え合うのも楽しかった。パパ、これ書けてないじゃない!なんて言いながら、娘自身も知識を再確認しているんですよね。家族だからお互いにダメなところをさらけ出せたのも、よかったかもしれません」

■受験も家族イベント 楽しさを見つけて

 志望校は自由な校風が気に入った2校に絞り、学校見学にも参加。合格発表当日は、仕事のため新宿のライブハウスにいた。

「家族がインターネットで合否を見る様子を、後輩が自宅から実況中継してくれたんです。しばらくしたら『きゃー!』っていう絶叫に続き『やったー!』と聞こえてきて、あぁ受かったんだ、と。ぼくもライブハウスの通用口で号泣ですよ。後輩が撮影した映像には、スピーカーフォンから響く『やったね、やったね』というぼくの泣き声が入っていました(笑)」

 娘の受験をサポートするなかで感じたのは、子どものモチベーションを維持することの難しさだという。

「合格したときに得る果実の甘さは、子どもにとってリアルではないかもしれないと思ったんです。こんないいことがあるから受験しようというなら分かるけど、受験それ自体が目的なのはしんどいはず。親だって結局は『君の将来のため』としか言えないから、子どもはその気になりづらいですよね」とマキタさん。

NEXT受験も家族で楽しめる「イベント」
1 2 3