――6月の退所会見にも台本はなかったのですか?

 もちろんありません。事前に一切決めていなかったです。その場に立ってみて、そこで判断して話すことを決めています。正直、そうした状態で人前で話すことは怖い。でも、その不安や恐怖があるからこそ楽しいんです。もちろん、楽しむために会見を開いたわけではありませんが、僕のパーソナリティーとしてそういう部分があるということです。あの会見を見て「こいつ終わったな」と感じた人もいると思いますが、無難な用意された言葉を伝えるよりも、誤解されて嫌われるほうがいい。歌番組でも僕は収録よりも生が好き。音程を外せない、歌詞を間違えられないという緊張感が好きなんです。

――会見については、NEWSのファンと思われる人からの酷評もありました。失敗したと感じていますか?

 失敗ではありません。正直に自分の言葉を伝えた結果なので。唯一の失敗は本(『AVALANCHE~雪崩~』(双葉社)です。こう見えて、僕は「ありがとう」とか「ごめん」とかを素直に言える人間です。あの本では、書かれているすべての人について「こんなにすごい人なんだよ」と伝えたかった。でも結果的には悪く言ったように伝わってしまいました。読者の印象とこちらの意図にこれほど違いが出るのか、と改めて学びました。

――改めて著書を出した意図を教えてください。

 漠然とした言い方になりますが、いまテレビ業界にいる人たちって、いろんなことにビクビクしているんです。そんな人たちがもっと生きやすくなるようにしたかった。僕自身のことについて過去に報じられたことと事実との相違を書くことで、他の芸能人のニュースが報じられたときに「これって、うその可能性もあるよね」という意識を読者に持ってもらいたかったんです。だからこのインタビューも動画で伝えられれば一番いいんですけどね(笑)。本は完全に失敗でした。でも、いつかこの経験は好転すると思っているので、いまは前向きにとらえています。

――ジャニーズ事務所からの退所は失敗ではないですか?

 失敗ではありません。退所してよかったと感じています。もちろん失ったものもたくさんありますが、前を向いて「もっと上に行きたい」と願って退所したので、毎日を楽しめています。

――しつこいようですが、後悔もありませんか?

 ありません。僕の独立を「裏切り」と感じる人たちがいるのは知っています。でも正直な気持ちを話すと、僕は15歳からジャニーズに入って、それから20年近く同じ事務所にお世話になりました。その間には本当にいろんなことがあったんです。当然ながら、その全てを伝えることはできません。だからファンの方に理解されなくても仕方がないと割り切っています。

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